標識はまるで誰かが息でも吹きかけてくれたかのように、一瞬だけ切れた霧の中から現れた。
吉田修一「悪人」に収録 ページ位置:73% 作品を確認(amazon)
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霧・かすみ・もや
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前後の文章を含んだ引用
......ているようだった。 峠を上るにつれ、雨脚が強まった。霧が濃く、ハイビームにしても数十メートル先の視界が曇る。 三瀬トンネルに入る手前に、旧道を示す標識があった。標識はまるで誰かが息でも吹きかけてくれたかのように、一瞬だけ切れた霧の中から現れた。 佳男は慌ててハンドルを切り、崖沿いの幅の狭い旧道へと入り込んだ。道幅が狭まると、小さな軽自動車は滝に呑まれるようだった。山肌を流れ出てきた雨水が、ひび割れたア......
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霧・かすみ・もやの表現・描写・類語(雨・霧のカテゴリ)の一覧 ランダム5
霧とまではいえない九月の朝の、煙 った空気
有島武郎 / 或る女
薄い霧だか 烟 だか港一杯に拡がって
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
霧が切れると、森も草原も水晶の粉をまいたようにキラめく
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
どこまでも意地の悪い霧
芥川龍之介 / 河童
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靄は水上からだんだん灰白色の厚味を増して来る。
岡本かの子 / 渾沌未分
黄色いスープのような靄におおわれる
北 杜夫 / さびしい乞食 amazon
産毛のように柔らかく短く截(き)れて降る春雨
岡本 かの子 / 花は勁し amazon
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