こんな事をふと思ったのもしかし束（つか）の間（ま）で、その追憶は心の戸をたたいたと思うとはかなくもどこかに消えてしまった。

脳裏をかすめる

おかしな考えが脈絡もなくひょっこり頭をもたげる。

人前では考えられもせぬような思いが、旋風（つむじかぜ）のごとく頭の中をこそいで通るのを覚えた。

閃くように思い出す

地下に流れる水脈を、無意識に察知できる人間がいるのと同じように、人の嘘が分かった。

ささやかな予感がした。頭の中を音のない弾丸のように素早くさっとその予感がよぎった。予感には小さな字で「車を何処かで停めたほうがいい」と書いてあったような気がした。

目を閉じた瞼の裏に光景ははっきりと浮かび、その後余韻を持って消えた

外見に惑わされず、本質で人を見る

ふえる白髪（しらが）も、苦労栄（ば）え