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身体の内側が外側にめくれ返っていくような特異な感覚に襲われる。するとあの路地のにおいがする。埃っぽいアスファルトのにおい、下水のにおい、ひねこびた植物と土のにおい、猫の尿のにおい。ピアスを最後につけたあの最後の夜のにおいが、部屋にこびりついた煙草のにおいと陣治の体臭をつきぬけて十和子の鼻孔に届く。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:19% 作品を確認(amazon)
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フラッシュバック・走馬灯のように蘇る記憶
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前後の文章を含んだ引用
......いったいどうしてこの壜のなかにあるのか! フレテハイケナイ――。 頭のなかで囁く声がある。 思わず壜から手を離し、その場にへたりこむ。落ち着きなく周囲を見回す。身体の内側が外側にめくれ返っていくような特異な感覚に襲われる。するとあの路地のにおいがする。埃っぽいアスファルトのにおい、下水のにおい、ひねこびた植物と土のにおい、猫の尿のにおい。ピアスを最後につけたあの最後の夜のにおいが、部屋にこびりついた煙草のにおいと陣治の体臭をつきぬけて十和子の鼻孔に届く。 唾液を飲み込むと小さく喉が鳴る。 もう一度手を伸ばして、なんとか壜を膝に抱き取る。気持の芯が凍りつくような感覚と懸命に戦う。脂汗が滲む。いつからここにあったの......
単語の意味
鼻孔(びこう)
身体(しんたい)
土(つち)
猫(ねこ)
鼻孔・・・鼻の孔(あな)。鼻の穴。「孔」は、訓読みで「あな」と読める。
身体・・・人のからだ。肉体。
土・・・岩石と有機物が混じって細かい粉末状になったもの。有機物は、生物の死骸およびその腐敗物、微生物などから構成されている。砂(有機物が含まれない)とは違い、植物が育ちやすい。
猫・・・1.ネコ科の哺乳動物の総称。形は虎に似て、柔軟な体や出入り自由な爪、鋭い感覚のひげを足を持つ。暖かいところを好み、鼠(ねずみ)をよく捕るとされる。
2.(猫の皮を胴張りに用いるところから)三味線の異称。
3.猫車(ねこぐるま)の略。
4.猫火鉢(ねこひばち)の略。
5.ふいごの内側についていて、空気の出る孔をふさぐ革。
2.(猫の皮を胴張りに用いるところから)三味線の異称。
3.猫車(ねこぐるま)の略。
4.猫火鉢(ねこひばち)の略。
5.ふいごの内側についていて、空気の出る孔をふさぐ革。
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(目に焼き付く。街を見渡したあと)冬の陽射しに眩んだ目を閉じると、十和子の内部にも不揃いな建物の群れと、街路と、電柱の列からなる見知らぬ街がひっそりと佇んでいる。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
二十七、八年も前で、ほとんど記憶の底に沈んでいて思い出しもしなかった
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