(舟をこぐ女の)歌声は平らな海面に柔らげられ、優しくうるんで耳に届いた。
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 ページ位置:42% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
歌声・歌う
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......。弱い斜めの光が、海面を銀に光らせていた。一隻のバンカーが光の上に黒く動いていた。二人の人間が乗っていた。 男が舳に坐り、女が櫂を持って、漕ぎながら歌っていた。歌声は平らな海面に柔らげられ、優しくうるんで耳に届いた。時々女は笑った。私は歯ぎしりした。 舟はやがて渚に着き、男がまず飛び上って舟を曳いた。女は男の手にすがって岸に立つと、二人は手を取り合ったまま、笑いながら駈けて......
ここに意味を表示
歌声・歌うの表現・描写・類語(声・口調のカテゴリ)の一覧 ランダム5
お腹がすきすぎても力が入らなくて歌いづらい
石井 好子「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)」に収録 amazon
単調な歌声が、風に消えて行く狩の角笛の音のように、ほそぼそといつまでも響く
中島 敦 / 悟浄出世 amazon
(子どもの)おとなびた 節廻しが、その歌の持つ 侘しさに拍車をかけていた。
宮本 輝 / 泥の河「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
歌声が嫋々(じょうじょう)と心にからみつく
島尾 敏雄 / 出孤島記 amazon
このカテゴリを全部見る
「声・口調」カテゴリからランダム5
のどから、おなかのそこから、きれいな音がさらさらとあふれ出ていくのが見えるようだった。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
わたしは自分の一人笑いに対する基本姿勢を「くくくくっ」という「く活用」に統一していたのであったが《…略…》退屈で風も強いことでもあるから「ふ活用」で笑ってみるのもわるいことではないな、と瞬間的に思った
椎名 誠 / 長く素晴らしく憂鬱な一日 amazon
かの女に云っているのか、独白なのかけじめのつかないような云い方だった。
岡本かの子 / 母子叙情
同じカテゴリの表現一覧
声・口調 の表現の一覧
感情表現 大カテゴリ
感覚表現 大カテゴリ
人物表現 大カテゴリ