軒先の表札がサイドミラーに触れてしまうような道

血脈のように全国に張り巡らされた無数の道路

ハイウェイを右に折れ、山に向かってしばらく進む

人通りの多い往来は相変わらず毛生欅（ぶな）の並み木のかげにいろいろの店を並べています。

道路が車のヘッドライトで光の川のよう

（東海道）「この東海道というものは山や川や海がうまく配置され、それに宿々がいい工合（ぐあい）な距離に在って、景色からいっても旅の面白味からいっても滅多に無い道筋だと思うのですが、しかしそれより自分は五十三次が出来た慶長頃から、つまり二百七十年ばかりの間に幾百万人の通った人間が、旅というもので甞（な）める寂しみや幾らかの気散じや、そういったものが街道の土にも松並木にも宿々の家にも浸み込んでいるものがある。その味が自分たちのような、情味に脆（もろ）い性質の人間を痺（しび）らせるのだろうと思いますよ」

しゃれた街路灯が道を両側を飾っている

白っぽくなるほど乾いた路上

青ぞらの映った雪解けの道

普通の通行人のための路ではないような隘路（あいろ）