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静かな月の下ではあるが、はげしい太刀音たちおとと叫喚の声とが、一塊ひとかたまりになった敵味方の中から、ひっきりなしにあがって来る。
芥川龍之介 / 偸盗 ページ位置:76% 作品を確認(青空文庫)
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......と気をあせった。額には、つめたい汗がわいて来る。手もふるえが止まらない。が、周囲は、どこを見ても、むごたらしい生死の争いが、盗人と侍との間に戦われているばかり、静かな月の下ではあるが、はげしい太刀音たちおとと叫喚の声とが、一塊ひとかたまりになった敵味方の中から、ひっきりなしにあがって来る。――しょせん逃げられないとさとった彼は、目を相手の上にすえると、たちまち別人のように、凶悪なけしきになって、上下じょうげの齒をむき出しながら、すばやくほこをかまえて、威丈......
単語の意味
叫喚(きょうかん)
叫喚・・・わめき叫ぶこと。
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