(好きな人と二人きりになる)ちょっと前から、ほんの少しずつ顔を出し始めていた感情が、めりめりと、その皮を剝ぎ始めているのが分かる。 冷房の風が、ゆっくりと、愛子の頭の上を往復する。体の中にある熱を鎮めてくれるはずの冷たさは、あっという間に消えてしまう。すぐ隣に、人間の体温をたっぷりと宿した、大地の体があるから。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 ページ位置:68% 作品を確認(amazon)
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......歌詞の中で何度も何度も出てきた、特別な言葉。「大地、私、十八歳になっちゃったよ」 愛子は、てのひらに残る麦茶の冷たさを感じることで、必死に戸惑いを隠そうとした。ちょっと前から、ほんの少しずつ顔を出し始めていた感情が、めりめりと、その皮を剝ぎ始めているのが分かる。 冷房の風が、ゆっくりと、愛子の頭の上を往復する。体の中にある熱を鎮めてくれるはずの冷たさは、あっという間に消えてしまう。すぐ隣に、人間の体温をたっぷりと宿した、大地の体があるから。 時計を見る。二十時三十二分。お父さんはまだ帰ってこない。「俺、大学行くけどさ」 受かったらな、と、大地は付け足す。「それもあんま、自分で選んだって感覚、ないけ......
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