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(隠し事がばれない)きっといつか、すべてを蒔野が知る時が来る。その恐ろしい不安は消えることがなかったが、一月経っても、二月経っても何事も起きず、彼女は、自分の罪が、知らぬ間に、もう半ば〝なかったこと〟になりつつあるのを知った。誰も気づかなかった。そして、これからももう気づかれることはないだろう。そう考えて、彼女は罪悪感を横目で見つつ、やはり安堵の方に先に手を伸ばした。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 ページ位置:72% 作品を確認(amazon)
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罪悪感・後ろめたい・良心の呵責
秘密・内緒・隠し事
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前後の文章を含んだ引用
......は今以て謎だったが、つまり、蒔野と洋子とは、あの夜を機に、恋人同士ではなくなったのだった。 早苗は、その悪い奇跡のような幸福に、どことなく薄気味悪さを感じた。 きっといつか、すべてを蒔野が知る時が来る。その恐ろしい不安は消えることがなかったが、一月経っても、二月経っても何事も起きず、彼女は、自分の罪が、知らぬ間に、もう半ば〝なかったこと〟になりつつあるのを知った。誰も気づかなかった。そして、これからももう気づかれることはないだろう。そう考えて、彼女は罪悪感を横目で見つつ、やはり安堵の方に先に手を伸ばした。 蒔野は、洋子と別れた後、直ちに早苗を愛するようになったわけではなかった。 グローブの野田に発破をかけられるがままに、《この素晴らしき世界》のレコーディングに集......
単語の意味
安堵(あんど)
横目(よこめ)
安堵・・・安心すること。心配事がなくなって緊張から解放されること。
横目・・・1.顔の向きを変えずに、目を横に動かして見ること。また、その目つき。
2.木目や紙の目などが横に通っていること。また、そのもの。
3.横目付(よこめつけ)の略。武家の行動を監視し、その非行を摘発する職。
2.木目や紙の目などが横に通っていること。また、そのもの。
3.横目付(よこめつけ)の略。武家の行動を監視し、その非行を摘発する職。
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引力に抗する思いで玄関を出た
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
(黒い憂鬱の浸食)ゼリー状の憂鬱とでも言うべき、暗澹たるものが胸の中に広がりはじめ、それが自分の頭をも占領するのをひしひしと感じた。 黒い感情が、蝉の内側に充満する。湿って粘着性のあるものにも感じられたが、乾燥して水分のまるでない干涸らびた思いにも感じられた。これは、と蝉は朦朧とする頭で考えていた。これは何だよ。 どろどろとした沼で喘ぐような気持ちで、頭を回転させる。馴染みのない憂鬱さに、戸惑い、怯えた。自分に対する失望や落胆、幻滅に似た、何かに襲われている。阻喪とも放心ともつかない。 しばらくして、まさか、と思い至った。ふいに、まさかこれは、俺の中の罪悪感が溢れかえっているんじゃねえだろうな、と気がついた。
伊坂 幸太郎 / グラスホッパー amazon
目が回ってその場に倒れてしまいそうなくやしさ恐ろしさを感じた。
有島武郎 / 或る女
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やがて記事が掲載される頻度は下降し、いつしか、この事件が紙面に載ることもなくなる。そして、誰も気に留めぬうちに、ひっそりと時効を迎えるのだ。
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 amazon
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