羽山純一は、薬缶の沸くのを待ちながら、所在なさそうにじっと薬缶に眼を注いでいる。
野間 宏 / 暗い絵「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 ページ位置：72% 作品を確認（amazon）
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手持ち無沙汰・所在ない
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......ンだこのある、指の長い形のいい手をかざして、暖を取るような形で火にあぶっている。木山省吾は上衣のポケットから形のくずれた汚れた煙草を取り出し、焜炉の火をつける。羽山純一は、薬缶の沸くのを待ちながら、所在なさそうにじっと薬缶に眼を注いでいる。「ブリューゲルでも見てやろうか。」深見進介は思い切ったように立ち上り、永杉英作の後の本棚の下の段から、セロファン紙で包まれた純白の立派な表紙の厚い画集を取り出し......
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羽山純一は、薬缶の沸くのを待ちながら、所在なさそうにじっと薬缶に眼を注いでいる。
野間 宏 / 暗い絵「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
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