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退屈の比喩を使った文章の一覧(145件)
腹の底に、欠伸の素が粉にでもなってふわふわ舞っているように、生暖かい欠伸が出て、止まらない
谷村 志穂 / ハウス amazon
生あくびが泡みたいに胃の奥から上がってくる
大庭 みな子 / 三匹の蟹 amazon
鏡の中でまた鏡を見るような、奥へ奥へ引っぱられてる重苦しい夢のような気持ち
安岡 章太郎 / 安岡章太郎集〈1〉ガラスの靴 ジングルベル 宿題 愛玩 蛾 他 amazon
頭の上に輝いているお天道様が一時に暗くなるような味気なさ
菊池 寛 / 入れ札 amazon
家畜のようにおとなしい単純な生き方
石坂 洋次郎 / 丘は花ざかり amazon
部屋の隅に立てられた電球を持たないフロアスタンドのように生きる
高橋 三千綱 / 涙 amazon
何の展望もなくじりじりと枯れていくように日々が過ぎてゆく
よしもと ばなな / ムーンライト・シャドウ amazon
羊の群れにはまりこんだ狼のように目うつりする
安部 公房 / 第四間氷期 amazon
睡魔が急に脳味噌を蕩(とろ)かすように襲ってくる
阿刀田 高 / ナポレオン狂 amazon
ひっそりとした貝のような生活
三田 誠広 / 僕って何 amazon
海綿が水を吸うように、じくじく眠りを吸収する
大江 健三郎 / 芽むしり仔撃ち amazon
熱っぽい、関節に油がきれたような妙な気分
安部 公房 / 第四間氷期 amazon
朝の礼拝堂に糞尿の気が流れてきたよりも、もっと興ざめなこと
岩田 豊雄 / 獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 amazon
心の支えがガタンと取り去られたように気力がない
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
身体中の筋肉が腐っていくようなだるさ
山田 太一 / 飛ぶ夢をしばらく見ない amazon
口を閉じ、魚のように暮らす
柴田 翔 / されどわれらが日々― amazon
倦怠が苔のように生える
瀬戸内 寂聴 / 愛すること―出家する前のわたし amazon
倦怠が意識に眠りのような幕を掛ける
夏目 漱石 / 門 amazon
疲れ切って小屋に向かう人のように元気がない
新田 次郎 / 縦走路 amazon
闇の洞窟でコウモリのような暮らし方をする
大庭 みな子 / がらくた博物館 amazon
声が経文を読むように暗い
笹沢 左保 / 終りなき鬼気 amazon
腰の折れた瓦斯(ガス)のような声を立てる
室生 犀星 / 舌を噛み切った女 (1957年) amazon
ふがふがと空気の抜けたゴム毬(まり)をつぶすみたいな声
大庭 みな子 / 三匹の蟹 amazon
むりやり景気をつけているような力のこもらない声
三田 誠広 / 僕って何 amazon
実際には数秒足らずの時間が、長い時が音を立てて流れつづけたように感じられる
小林久三 / わが子は殺人者 amazon
ほとんどまばたきするほどの時間だったが、停止したフィルムの場面の中にいるような気がする
灰谷 健次郎 / 太陽の子 amazon
外を吹き荒れる突風に首を縮こめ、決して巣から顔を出さない穴熊みたいに、注意深く日常をやりすごす
鷺沢 萠 / 大統領のクリスマス・ツリー amazon
東京で規則正しく、もの静かに生活を送った。国を追われた亡命者が異郷で、周囲に波風を立てないように、面倒を起こさないように、滞在許可証を取り上げられないように、注意深く暮らすみたいに。彼はいわば自らの人生からの亡命者としてそこに生きていた。そして東京という大都市は、そのように匿名的に生きたいと望む人々にとっては理想的な居場所だった。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
長く引き延ばされた夕暮れのような一日だった。めりはりというものがない。窓の外の灰色に少しずつ黒が混じっていって、やがて夜になった。陰鬱さの質が少し変わっただけだった。世界には二色しか色が存在しなかった。灰色と黒。それが一定時間をおいて行ったり来たりしているだけなのだ。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
長いハードな一日だった。犬のように眠りたい。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
体の中に一片の眠りも存在しなかった。まるで干しあがった井戸のように僕は目覚めていた。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
朝に散歩をし、小説を書き、療養所に行って昏睡した父親のために適当な本を朗読する、そして宿に帰って眠る。そういう日々が単調な田植えの囃子歌のように繰り返された。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
睡魔はまるで古代の棺の石蓋のように容赦なく彼の頭上にのしかかっていた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
西嶋の発言は、女性陣の士気を、ずいぶんと下げた。合コンの雰囲気を海だとするならば、鳥井や長谷川さんが苦労して、波を起こし、砂浜近くにまで海面を引き寄せていたのに、西嶋の、「歴史を変えようがとにかく抗生物質をばんばん使えばいいじゃんか」論が、一息に台無しにした。水の枯れた地面を指し、「ここは昔、海だったのです」と懐古するように、僕たちの座卓に対して、「こう見えても、この合コンも昔は盛り上がっていたのです」と懐かしむこともできるくらいだ。
伊坂 幸太郎 / 砂漠 amazon
足の裏を突き抜けて地にめりこんで行くような沈鬱
石川淳 / 普賢 amazon
退屈な、救いのない、枯野のようなあけくれ
久保田 万太郎 / 末枯「末枯/続末枯/露芝 (岩波文庫 緑 65-2)」に収録 amazon
死のような仮睡(まどろみ)に落ちた
三島 由紀夫 / 金閣寺 amazon
身動きすると苦しく、目をつぶると靄(もや)のような眠気がかぶさってくる。
北 杜夫 / 谿間にて「新潮日本文学 61 北杜夫集―楡家の人びと・他」に収録 amazon
釘抜きで挟まれたように眠くなった。
石坂 洋次郎 / 石中先生行状記 amazon
顔の前の行燈(あんどん)を吸い込むような大欠伸(おおあくび)
泉 鏡花 / 高野聖 amazon
声の調子さえもおとろえて力のない雨だれの音のような退屈な講義
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
心はさあっと、水をかけたように冷たく冴えかえって来ました。
井上 靖 / 猟銃「猟銃・闘牛 (新潮文庫)」に収録 amazon
まだ眠くて堪らない小犬のように眼をつむったまま加奈子の笑い声をうるさがった。
岡本 かの子 / 春「岡本かの子全集 (第2巻)」に収録 amazon
張り詰めていた彼の昂奮も急に吸われるように醒めて来た。
横光 利一 / 悲しみの代価「日本の文学〈第37〉横光利一 (1966年) 悲しみの代価 日輪 上海 他」に収録 amazon
老人はとつぜん、「ああ、ああ」と夜鳥のやうに大声を出して長い欠伸(あくび)をした。
丸谷 才一 / 横しぐれ amazon
今しがたまで身を沈めていたあの満足の余奮から、突然、つき飛ばされたように醒めていく
石原 慎太郎 / 行為と死 (1967年) amazon
時計の針がとまったように一向に夜が更けぬ。
森田 たま / もめん随筆〈続〉 amazon
酒と水のすりかえが行われたかのようなある物足りなさ
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
朝々の目ざめはいつもぽおっとした熱のようなものが、瞼の上に重く蜘蛛の巣のように架っていて
室生 犀星 / 性に眼覚める頃 amazon
生活が、かびのようにつまらなくなった
林 芙美子 / 浮雲 amazon
幻滅が、再び季節風のように心に吹いて来た
林 芙美子 / 風琴と魚の町/清貧の書 amazon
蒼ざめた紙のごとく退屈無限の映画
坂口 安吾 / 白痴 amazon
子守唄のようになってかれのたましいをフワフワとねむりの国へさそいだしてくれる
庄野 英二 / 星の牧場 amazon
病院できまりきった栄養料理をたべさせられるような味気ない心地
森田 たま / もめん随筆 amazon
恋愛の雰囲気のなかに、なにが不調和だといって、およそ金銭の話に超すものはあるまい。それは朝の礼拝堂に糞尿の気が流れて来たよりも、もっと興ざめなことに違いない。
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
いつも夕暮れの中にいるようだ、寂寥たる日々
村上 龍 / 恋はいつも未知なもの amazon
輪のような欠伸(あくび)がつづけざまに吹き上がった。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
かれはねむりの砂をかけられたように
庄野 英二 / 星の牧場 amazon
時はあぶらの垂れるゆるやかさで過ぎた。
室生 犀星 / 杏っ子 amazon
目が糊づけにされたように渋って来た。のめるようにひたすら眠い。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
手足の先がばらばらにほぐれるような倦怠感
梅崎 春生 / 桜島 amazon
睡魔が鉛のように重く、打ち克ちがたく私に襲ってくる。
平林 たい子 / 大草原「日本の文学〈第48〉平林たい子,大原富枝 (1969年)地底の歌・秘密・桜・他 婉という女・大草原・他」に収録 amazon
熱狂はみるみる潮のように引いて
福永 武彦 / 草の花 amazon
酢の利かない鮨のように、味気ない気分
立野信之 / 姉妹
酔っているあいだの昂奮と誇張が不自然で大きいだけに酔いざめの味気なさは湿った砂を噛みしめるような気もちなのである。
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
どうでもよくなって、彼の顔が三割増しに粗く見える。ニのよく動く口が伸びちぢみする輪ゴム程度にしか見えない。
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon
鉛のように重苦しい集計時間が過ぎていく。
池井戸 潤「民王 (文春文庫)」に収録 amazon
一時期は彼の中に激しく息づいていた幾つかの感情も急激に色あせ、意味のない古い夢のようなものへとその形を変えていった。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
同じ一日の同じ繰り返しだった。どこかに折り返しでもつけておかなければ間違えてしまいそうなほどの一日だ。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
ある日、何かが僕たちの心を捉える。@略@二日か三日ばかり、その何かは僕たちの心を彷徨い、そしてもとの場所に戻っていく。……暗闇。僕たちの心には幾つもの井戸が掘られている。そしてその井戸の上を鳥がよぎる。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
この何日かの疲れが巨大な波のように突然彼に押し寄せてきた。そして血液の中を生ぬるいかたまりがゆっくりと巡った。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
油が尽きて段々と細くなっていく灯火を見ているような、はかない無力な気持ち
海音寺塩五郎 / 戦雲「武道伝来記」に収録 amazon
まるで鎖にでも繋がれているのを引きずって行くように重かった
島崎藤村 / 新生 amazon
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