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その他の気分の比喩を使った文章の一覧(187件)
それはちょうど揺れる船から下りて、強固な地表に立った時に感じるのと同じ種類の残存感だった
村上春樹 / 回転木馬のデッド・ヒート(タクシーに乗った男) amazon
鉛か腐った泥を詰めたような状態
拓殖久慶 / ラオス内戦 amazon
雲を踏むような不安な酔い
安岡 章太郎 / 悪い仲間「ガラスの靴・悪い仲間 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
悪魔に追いかけられているかのように、ものすごい勢いで飛び込んでくる
ロナルド・マンソン / ファン・メイル (上) amazon
何がどうなっているのかさっぱりわからなかった。眠っているあいだに頭の中が水びたしになって脳がふやけてしまったような気分だった。
村上 春樹 / ノルウェイの森 下 amazon
意識がひどく弛緩して、暗黒植物のようにふやけて
村上 春樹 / ノルウェイの森 下 amazon
肉塊を鼻先で見るように切迫した息苦しさ
伊藤 整 / 青春 (1960年) amazon
手のつけようのない数学の問題を目の前にして、時計の針を動くのを眺めているような毎日
現代の文学〈17〉安岡章太郎 amazon
古井戸をこわごわのぞく格好で、自分の本心をのぞく
島尾 敏雄 / 出孤島記 amazon
最後のチャンスに自分の生命の火を賭ける
瀬戸内 寂聴 / 愛すること―出家する前のわたし amazon
馬のようにおとなしく立っている
阿部 昭 / 千年 (1977年) amazon
風にあおられて外套の裏がひるがえったように、秘密にしていた心を見る
安岡 章太郎 / 悪い仲間 amazon
のどのあたりが泣くような空腹感に押しつぶされる
石坂 洋次郎 / 丘は花ざかり amazon
去勢された猫のように大人しく、気だるそうにテレビを観る
原田 宗典 / 十九、二十(はたち) amazon
思いが水のように胸に拡がる
川端 康成 / 掌の小説 amazon
感慨無量なものが水のように胸を浸してくる
山手 樹一郎 / 喧嘩大名・木枯の旅 amazon
外に出て長時間走ることは、小説を書くことで絡み付いてくる闇の気配のようなものを払い落とす悪魔払いのようなもの
2013.5.6 村上春樹の京都大学での講演
最後のチャンスに自分の生命の火を賭ける
瀬戸内 寂聴 / 愛すること―出家する前のわたし amazon
声低く濃霧のかなたでせせら笑われているように朦朧とする
開高 健 / 地球はグラスのふちを回る amazon
風が吹き抜けるような空腹を覚える
本庄 陸男 / 石狩川〈上〉 amazon
情緒が空の雲のように、カメレオンの顔のように、姿を変え色を変える
梶井 基次郎 / 檸檬・冬の日―他九篇 (1954年) amazon
天の青、海の青のなかを、かもめのようにゆらゆらしているようなおぼつかなさ
宮尾 登美子 / 楊梅(やまもも)の熟れる頃 amazon
空っぽの財布のような薄い腹
向田 邦子 / 思い出トランプ amazon
胃の中の蛙が大海を知らないみたいな小さな高慢
太宰 治 / 津軽 amazon
本心が、藻の影の金魚のように見え透いている
岩田 豊雄 / 獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 amazon
鳩尾(みぞおち)のあたりがキリキリと痛くなるような空腹
落合 恵子 / 夏草の女たち amazon
サハラ砂漠のように口の中がカラカラ
井上 ひさし / モッキンポット師ふたたび amazon
傷ついた小さな獣が命がけで反撃しているかのような姿
内館 牧子 / あしたがあるから amazon
主義主張がコブのように自分の気ままな行動をしばりつけているような窮屈さ
小林 多喜二 / 一九二八・三・一五 amazon
心の支えがガタンと取り去られたように、気力がもうない
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
世界が自分を中心に廻っているような錯覚の中に住む
高橋 和巳 / 我が心は石にあらず amazon
自尊心を下ろし金にかけるようなことをする
倉橋 由美子 / 倉橋由美子の怪奇掌篇 amazon
川底に知らぬ間に砂が厚く積もっているように、(男への)感情が層を深く支度される
大仏 次郎 / 雪崩 (1953年) amazon
針で風船を突いたように、気持ちが小さく現実へと萎む
連城 三紀彦 / 日曜日と九つの短篇 amazon
スイッチを入れられたかのように、おかしなほどきれいに眠気が飛ぶ
宮部 みゆき / とり残されて amazon
欲望と屈辱とに我が身がずぶ濡れになる
黒井 千次 / 春の道標 amazon
プールの水底で聞いている声のように、意味をなさない遠いこだまでしかなかった
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
去勢された犬が過去の記憶に従って雌犬の尻の匂いを嗅ぐみたいに、
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
その眼はある一点を凝視めていて、すぐ前の道を通るわたしを空気のように無視していました。
大原 富枝 / ストマイつんぼ (1957年) amazon
阿弥陀如来のようにボーッとしていた
島田 雅彦 / ドンナ・アンナ amazon
こめかみが鈍く痙き、意識にうっすらと霞がかかっている。頭のまわりに、鉄の輪でじわじわと締めつけられるような感覚があった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
滝の直前まで来たら、小松はひとりで手近にある岩場にすっと飛び移ってしまうのではないだろうか。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
そこにある言葉の響きは彼女の神経を慰撫し、恐怖を戸口で押しとどめ、呼吸を落ち着かせてくれた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
自分が新しい人間になっていることに天吾は気づいた。目覚めは心地よく、腕や脚の筋肉はしなやかで、健全な刺激を待ち受けていた。肉体の疲れは残っていない。子供の頃、学期の始めに新しい教科書を開いたときのような、そんな気分だった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
「君は怯えている。かつてヴァチカンの人々が地動説を受け入れることを怯えたのと同じように。@略@地動説を受け入れることによってもたらされるであろう新しい状況に怯えただけだ。それにあわせて自らの意識を再編成しなくてはならないことに怯えただけだ。@略@今まで長いあいだ身にまとってきた、固い防御の鎧を脱ぎ捨てなくてはならないことを怯えている」
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
頭が痛むわけでもないし、身体がだるいわけでもない。意識はクリアだ。ただ何か風通しがよすぎるような感覚が体の中にあった。専門家の手で手際よく清掃された配管装置になったみたいだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
アルコールを内燃機関にしてモクモク煙を吐く人間ディーゼル車といったところだ。
中島 らも / 今夜、すベてのバーで amazon
おれは、頭の中いっぱいに石綿がびっしり詰まったような感じだ。考えることもできないし、状況把握もできない。 子供の頃、よく体を独楽のように回して、終わった後のふらふらの状態を面白がった。ラリるというのは、あの酩酊がずっと持続しているようなものだ。シンナーの酔いも、それによく似ている。アルコールでは、後におれはぶっ倒れて天井がくるくるまわっているのを何度も見たことがある。
中島 らも / 今夜、すベてのバーで amazon
三杯目を干した頃に、胃の底の方に、ぽっとバラ色の火がともったような感じがあった。@略@胃の中の小さな火が、野火のようにだんだんと燃え広がり、胃全体があたたかくなった。胃はおれの体の中で、猫のように気持ちよさそうなまどろみを始めた。酔うというのは、体が夢を見ることだ。
中島 らも / 今夜、すベてのバーで amazon
ほの暗い灯りとやわらかい音楽が徹夜つづきの連日のおびただしい疲労を溶かしてくれるようだった
開高 健 / パニック「パニック・裸の王様 (新潮文庫)」に収録 amazon
パンチを放つたび、体で起こした電力が次々、消費されていく。エネルギーはもはや出ていく一方だが、出し切るしかない。
伊坂 幸太郎 / アイネクライネナハトムジーク amazon
川が揺れている、とはじめは思った。迂曲している川が横にゆがみ、今にも氾濫を起こしそうに見える。足元がふやけたかのように、風景が震え、そしてそれが、いつもの眩暈であることに気づく。
伊坂 幸太郎 / グラスホッパー amazon
砂漠のどこかにある井戸
サン=テグジュペリ / 星の王子さま amazon
思考の滑車がぐるぐる回り、次から次へとさまざまな考えが現れる。現れては、消える。どうする、どうする、と自分の内なる誰かが囁いてくる。
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
人質に取られた人形のようにおとなしくしている
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
やさしく撫でるように慰めてくれる
室生 犀星 / 幼年時代 amazon
泥のように酔ってきた。
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
人々は家畜のようにおとなしく
石坂 洋次郎 / 颱風とざくろ amazon
あれからビールをひっきりなしに飲んでいるのに頭はクリアになっている。クリアといっても彼方に雪山の見える高原にいる感じではなく、酔ったまま浅瀬に身を横たえた程度なのだが。
村上 龍 / 恋はいつも未知なもの amazon
手術台の上で俎(まないた)へ乗せられた魚のように、おとなしく我慢している
夏目 漱石 / 明暗 amazon
深海のたった一匹の魚をつろうとしているほどあいまいなもの
円地 文子 / 女坂 amazon
返答は、あやふやで朧月夜のようにぼやけている。
阿木燿子 / まあーるく生きて
髭を抜かれた猫のように、ちんまりと大人しくなった
高森 和子 / さまざまな老い「母の言いぶん」に収録 amazon
一日中一滴の水も飲まずラクダのように行軍する
長谷川 四郎 / 鶴 amazon
彫刻の如く静か
正木不如丘 / 行路難
洪水の中に浮んで遠く流されてゆく死骸のように酔っている。
伊藤 整 / 灯をめぐる虫「伊藤整作品集〈第7巻〉火の鳥,灯をめぐる虫,たわむれに,生きる怖れ (1958年)」に収録 amazon
去勢されたひとのように静か
大原 富枝 / ストマイつんぼ (1957年) amazon
庭の花々を眺めながら日暮れて淋しがる子供のように呆(ぼ)んやりしていた。
林 芙美子 / 人生賦「風琴と魚の町/清貧の書 (新潮文庫 は 1-4)」に収録 amazon
崖から突き落された怪我人のように、彼女はまだ視覚が定まらないで眩暈(めまい)を感じていた。
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
乾いた咽喉に貼りついた声を引き剥がすように呟く。
黒井 千次 / 群棲 amazon
くるたんびに、猫の目みたよに機嫌がかわる
宇野 千代 / おはん amazon
ぽっと点燈したばかりの濃い桃色の酔いが不安を忘れさせてくれる。
筒井 康隆 / 夢の木坂分岐点 amazon
意識が朦朧としてきて、抛(ほう)り出された手鞴(ふいご)のようにしぼんで行こうとした。
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
息ぐるしい。まるで生きながら、棺桶の蓋をされ、墓穴に吊り降されたようだ。
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
酒を飲んでいる成人なんて皆な馬鹿なんだ。@略@まるで化け猫か狸のようじゃないか
牧野 信一 / 淡雪 amazon
借り猫のようなおとなしさ
壺井 栄 / 二十四の瞳 amazon
私の血脈だけが、キコンカコン歌時計のように活発に動いていたわ
石坂 洋次郎 / 若い人 (1966年) amazon
数えれば切りのない多くの負け目が、皮膚のようにへばりついていた
織田作之助 / 放浪記
心のひけ目が、水のように胸を冷して
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
酒に弱いので顔をバクハツするみたいに真赤にして喋っていました。
椎名 誠 / 犬の系譜 amazon
この掌に応える、時計の針に似た響きは、自分を死に誘う警鐘のようなものであると考えた。
夏目 漱石 / それから amazon
登は喘(あえ)いで、口の中が枯草をいっぱい押し込まれたように乾ききって、答えることができなかった。
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
春の夜の朦朧たる月影を見るように、そこはかとなき終りを告げた
舟橋 聖一 / 白薊 amazon
娘どもは人間の足音を聞いた鼠のように、すばやく、そらぞらしくしんと静まりかえって
佐藤春夫 / お絹とその兄弟 amazon
本心は藻の蔭の金魚のように、見え透いてる
岩田 豊雄 / 沙羅乙女「獅子文六作品集〈第4巻〉沙羅乙女・信子 (1958年)」に収録 amazon
酔っているあいだの昂奮と誇張が不自然で大きいだけに酔いざめの味気なさは湿った砂を噛みしめるような気もちなのである。
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
霧でも捉むような、誰の所為(せい)とも判明しない悪戯
長塚 節 / 土 amazon
急に身が落ち込んで行くような眩暈(めまい)
井上 靖 / 猟銃「猟銃・闘牛 (新潮文庫)」に収録 amazon
遠い大陸を見つめる犬のような顔をしながら
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
よほど酔っ払ったのか、負ぶわれたほうは壊れた操り人形のようにフラフラとしていた。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
手が震える。必死にイアフォンのコードを引っ張り耳に突っ込む。麻薬中毒がドラッグを求める姿と似ていた。不安感が自分を押し潰す前に、クスリを投与しなくてはいけない。クスリは耳から注入する。ウォークマンの再生ボタンを押した。 病院の名は、「ビートルズ」だ。この場合の薬剤師はきっと、「ジョージ・ハリスン」で、薬の名前は、「HERE COMES THE SUN」だった。 ボリュームを上げ目を閉じ、じっと聴く。「It's All Right」と繰り返される。豊田はそれを自分の中で何度も繰り返した。「大丈夫だ。大丈夫だ。It's All Right」と繰り返し、不安感を取り除いていく。二回同じ曲を聴く。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
自分にだけ迎えの船が来なかったような、見捨てられた気持ちになった
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
天井を見つめていた。 煙草の脂で黄ばんでいる。いや、視界そのものが黄色味掛かっているのかもしれない。@略@黄色いレンズを透かして物を見ているような感覚はまだ続いていたし
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
今や微動だにしなくなったブヨ(人名)は交尾を前にして冬眠に入った動物のようであり、爆ぜる前の静かな活火山のようでもあった。
羽田 圭介「ミート・ザ・ビート (文春文庫)」に収録 amazon
一日中食べることばかり考えてる。戦争中の子供みたいに
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
つわりはずぶ濡れのブラウスのように、じっとり彼女に貼りついている。@略@彼女は今、神経もホルモンも感情もバラバラになっているのだ。
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
光線の当て方によって次々に色彩を変えていく多面体の鉱石のように、つかみどころがない
小林久三 / わが子は殺人者 amazon
何もかもがすきとおってしまいそうなほどの十一月の静かな日曜日
村上春樹 / 1973年のピンボール amazon
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