暗い淋しい気持が廻りから締めつけて来る。彼はそれにおさえられ、身動きもならず、ただ 凝然 としているより仕方ない気持だった。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:28% 作品を確認(amazon)
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寂しい
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......直ぐ立って羽織だけを脱ぎ、着のみ着のまま、帯の結び目を前へ廻して寝床へ入った。 彼は寝ながら持って来た本を拡げたが、どうしても、それに惹き込まれて行かなかった。暗い淋しい気持が廻りから締めつけて来る。彼はそれにおさえられ、身動きもならず、ただ凝然としているより仕方ない気持だった。実に静かな夜だ。そして寒く、火のある部屋でも頰は冷え冷えと、未だ足の先は温まりきらずにいた。 戸外から先刻の乞食の鼾がかすかに聞えて来た。 彼は眠れぬままに、帰......
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彼女がアパートを出ていってしまってから既に一ヵ月が経っていた。その一ヵ月には殆んど何の意味もなかった。ぼんやりとして実体のない、生温かいゼリーのような一ヵ月だった。何かが変ったとはまるで思えなかったし、実際のところ、何ひとつ変ってはいなかったのだ。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
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