(川は)真黒でドブ臭かった。その黒い水の上に仔犬の死骸やふるいゴム靴が浮いていた。
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 ページ位置:9% 作品を確認(amazon)
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川
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前後の文章を含んだ引用
......親代りの私だけだったから肩身のせまい思いをしただろう。 私の方もF市に来た日から東京に帰りたくなった。水の街という話はきいていたが、その街の中心を流れる那珂川も真黒でドブ臭かった。その黒い水の上に仔犬の死骸やふるいゴム靴が浮いていた。私は勝呂医院の庭や診療室の臭いを思いだした。住む人の言葉もたしかにあの医者の訛りがあった。私は彼にもこの河をみたり、街を歩いたりするような医学生時代があったのだ......
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川の表現・描写・類語(水面・水中・水辺のカテゴリ)の一覧 ランダム5
川瀬の音に狭霧 を立てて安倍川が流れている。
岡本かの子 / 東海道五十三次
奈良の南の町外れに近く、菜の花の中に落した巨大な銀簪(かんざし)の二本の足のように能登川と岩井川とが流れている。
岡本 かの子 / 落城後の女「岡本かの子全集〈4〉 (ちくま文庫)」に収録 amazon
(道頓堀川)墨汁のような色をたたえてねっとりと 淀む巨大な泥溝
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
瀬の石と石との間に出来た小さい流れ
梶井基次郎 / 交尾
(川の水は、)少しの水の捌け口があると、そこへ怒りをふくんで激しく流れ込んだ。
室生 犀星 / あにいもうと「あにいもうと・詩人の別れ (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
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「水面・水中・水辺」カテゴリからランダム5
繁吹(しぶき)が無数のこまかな針を吹きつけるようにわしの全身をおそって、私は目を細めた
山川方夫 / 海岸公園 amazon
袋の中のようなここの入江
正宗 白鳥 / 牛部屋の臭い (1971年) (雨の日文庫〈第6集 amazon
淡くけぶる湿原の中をくろぐろとうねり流れる釧路川が墨絵のよう
内田 康夫 / 釧路湿原殺人事件 amazon
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