陰鬱 に降りつづく雪を憎んでいた。雪煙が、強く吹いている風にあおられて竜夫の顔や胸にかかった。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 ページ位置:31% 作品を確認(amazon)
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雪
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前後の文章を含んだ引用
......く吹きつのったりしながら、雪はいっこうにやむ気配を見せなかった。道行く人はみな外套を白く染め、身を屈めて急いでいた。 竜夫は雪を蹴った。彼は生まれて初めて、この陰鬱に降りつづく雪を憎んでいた。雪煙が、強く吹いている風にあおられて竜夫の顔や胸にかかった。いたち川のはるか上流に降るという螢の大群が、絢爛たるおとぎ絵となって、その瞬間竜夫の中で膨れあがってきた。桜 目を醒ますと、枕に耳を押し当てて、竜夫は川の水音を......
単語の意味
陰鬱(いんうつ)
胸(むね)
陰鬱・・・陰気(=どんよりして)で鬱陶(うっとう)しい(=晴れ晴れしない)さま。気持ちがすっきりしてないさま。気分が重苦しいさま。
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大きな 牡丹雪 が気持のいいほど 盛んに降っていた。
志賀 直哉 / 痴情「城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)」に収録 amazon
山の陰に消残つて、雪の色も仄 に青く煙つてゐる。
芥川龍之介 / 芋粥
無理にこじ開けられた痛々しい傷跡のような赤土をいたわるように、所々を薄い雪がおおう
干刈あがた / 月曜日の兄弟たち「干刈あがたの世界〈2〉ウホッホ探険隊」に収録 amazon
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(何十年ぶりかの大雪)ひとときも止む気配がなく、だんだんに勢いが激しくなって、夕方には空も空気も風も雪に埋まった。その日から、雪国に迷い込んだような毎日が続いた。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
粉雪が夏の虫のように舞い狂っている
石坂 洋次郎 / 石中先生行状記 amazon
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