(面と向かって別れを告げられて)わたしは彼から視線をはずし、目の前に置かれたストロベリー果汁入りシャンパンの、優雅で細長いグラスを見つめた。まるで目と鼻の先にあるにもかかわらず、決して飲むことが許されない飲み物を眺めているようでもあった。頭の芯がぐらりと揺れ、遠近感が失われた。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:59% 作品を確認(amazon)
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失恋・恋人と別れる
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前後の文章を含んだ引用
......けないと思った。……僕は今も、自分が間違ってはいないと思ってるよ。こういうことは、顔を見合って話さなくちゃいけない。電話やメールで伝えきれることじゃないんだ」 わたしは彼から視線をはずし、目の前に置かれたストロベリー果汁入りシャンパンの、優雅で細長いグラスを見つめた。まるで目と鼻の先にあるにもかかわらず、決して飲むことが許されない飲み物を眺めているようでもあった。頭の芯がぐらりと揺れ、遠近感が失われた。 それまで幾度も幾度も、妄想の中でふくらませていた瞬間がやっと訪れただけのことだったというのに、わたしは自分が想像していたどのシーンとも、現実が異なっていたこと......
単語の意味
優雅(ゆうが)
視線(しせん)
鼻の先(はなのさき)
優雅・・・上品で美しいこと。気持ちや雰囲気にゆとりがあるさま。
視線・・・目と、目が見ようとしているモノとを結ぶ線。目が見ている方向。見つめている方向。
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それは素晴らしい音楽と同じように心を慰撫し、肉を優しくほぐし、時の感覚を麻痺させた
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
道で交すにはあまりにも丁寧な口づけが、唾液の糸を甘やかに交錯させ、欲望という布地を織り上げる。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
愛を物語る指の動きや、情感を肌の上に 均す舌の滑り具合
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
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