つまんだ程の顎尖 から、丸い顔の半へかけて、人をたばかって、人は寧 ろそのたばかられることを歓 ぶような、上質の蠱惑 の影が控目にさし覗 いている。
岡本かの子 / 雛妓 ページ位置:84% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
魔性の女
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......人目に触れずしてかつ降り、かつ消えてはまた降り積む、あの北地の奥のしら雪のように、その白さには、その果敢 なさの為めに却 って弛 めようもない究極の勁 い張りがあった。つまんだ程の顎尖 から、丸い顔の半へかけて、人をたばかって、人は寧 ろそのたばかられることを歓 ぶような、上質の蠱惑 の影が控目にさし覗 いている。澄していても何となく微笑の俤 があるのは、豊かだがういういしい朱の唇が、やや上弦の月に傾いているせいでもあろうか。それは微笑であるが、しかし、微笑以前の微笑である......
単語の意味
蠱惑(こわく)
蠱惑・・・神秘的な魅力で人の心をひきつけて、惑わすこと。
ここに意味を表示
魔性の女の表現・描写・類語(男性・女性のカテゴリ)の一覧 ランダム5
ああいう人は男を自分という泥沼の中に引き込んで逃がさない。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「男性・女性」カテゴリからランダム5
(綺麗になった)どういうわけか、すみれの姿が最初うまく見分けられなかった。前に顔をあわせてから三週間もたっていないのに、テーブルをはさんで目の前にしている彼女は、以前のすみれとはべつの世界に属している人間のように見えた。彼女はごく 控えめに言って、とても美しくなっていた。なにかが彼女の中で開花したのだ。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
全身ことごとく男性を陶酔させるほど匂やかなものがある女性
石川 達三 / 独りきりの世界 amazon
同じカテゴリの表現一覧
男性・女性 の表現の一覧
人物表現 大カテゴリ