彼がいつも知りたいと感じるのは、この女の不思議な雰囲気が、どんなふうに生まれるのかということだった。 寝椅子 でうたた寝をしている時など、彼は彼女の閉じられた目や長く伸ばされた爪や太股の上までまくれ上がったスカートの 皺 さえも凝視した。けれど、何の答も出て来はしない。彼女は、ただそこに存在していて、その存在しているということだけで、すべてを説得していた。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 ページ位置:2% 作品を確認(amazon)
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魔性の女
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......ずにそれを許してしまうのだった。しかし彼は別に彼女について深く知ろうとは思っていなかった。生い立ちや友人やどこに住んでいるかなどの具体的な事柄に関しては。むしろ彼がいつも知りたいと感じるのは、この女の不思議な雰囲気が、どんなふうに生まれるのかということだった。寝椅子でうたた寝をしている時など、彼は彼女の閉じられた目や長く伸ばされた爪や太股の上までまくれ上がったスカートの皺さえも凝視した。けれど、何の答も出て来はしない。彼女は、ただそこに存在していて、その存在しているということだけで、すべてを説得していた。 留学生として日本に住み、インドネシア料理店で夜は何を考える暇もなく働く自分が、とてつもなくつまらないものに思われる瞬間だった。ティエンは憂鬱になった。何のため......
単語の意味
凝視(ぎょうし)
太股・太腿・太もも(ふともも)
凝視・・・目を凝らして一点を見つけること。目を大きく見開いてじっと見つめること。
太股・太腿・太もも・・・足の、膝(ひざ)より上の太い部分。股の内側の膨らんだところ。足の付け根から膝までの部分。大腿(だいたい)。上腿(じょうたい)。
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魅力的な人の表現・描写・類語(人の印象のカテゴリ)の一覧 ランダム5
居心地が悪かった。彼女のアンバランスな存在感は、人を落ち着かなくさせる。そしてそこが美点で、別れると何か言い残した気がして、また会いたくなる。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
母が灯台としてあまりにこうこうと明るすぎるから、通りかかる船はみな混乱し、さまざまに奇妙な運命が寄ってきてしまう
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
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魔性の女の表現・描写・類語(男性・女性のカテゴリ)の一覧 ランダム5
ああいう人は男を自分という泥沼の中に引き込んで逃がさない。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
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自分の妹をさえ父兄に反 かせた彼の美貌
吉川英治 / 八寒道中
二十一歳の肉体は、性への期待や憧れを、ゆるやかな潮の満ち干のように繰り返す
宮本 輝 / 夢見通りの人々 amazon
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全然場所をとらない地味な子供
林 芙美子 / 晩菊・水仙・白鷺 amazon
もう日向とは思えないそこに、気のせいほどの影がまだ残っている。
梶井基次郎 / 冬の日
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