これは虐待とは言わない。 じゃあ、何だ。しつけ……そう、しつけだ。 しつけと虐待とは違う。 まどかのためを思って、やっているのだから……。 いや……。 捻り出した答えを自分自身で肯定できず、雪見は 慄然 とした。まどかのためというより、腹立たしさや、その場を早く収めたいという安易な気持ちから選んだ行為であることをその都度自覚していて、小さくとも確かな罪悪感を持っていたからだ。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:48% 作品を確認(amazon)
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虐待
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前後の文章を含んだ引用
......るような感覚があった。 虐待? これが虐待だって? これは虐待なんかじゃない。虐待なら知っている。自分が子供の頃、母に散々受けてきたからだ。こんなもんじゃない。これは虐待とは言わない。 じゃあ、何だ。しつけ……そう、しつけだ。 しつけと虐待とは違う。 まどかのためを思って、やっているのだから……。 いや……。 捻り出した答えを自分自身で肯定できず、雪見は慄然とした。まどかのためというより、腹立たしさや、その場を早く収めたいという安易な気持ちから選んだ行為であることをその都度自覚していて、小さくとも確かな罪悪感を持っていたからだ。「あなたがそんなふうだから、まどかがおかしくなるんでしょっ。どうしてそれに気づかないのっ?」 雪見は怒りに眼を潤ませた義母を見た。 やはりこれは虐待だったのでは......
単語の意味
慄然(りつぜん)
慄然・・・恐怖で震えるさま。恐ろしくびくついてるさま。「然」は他の語の後ろに付いて、状態をあらわす字。
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虐待の表現・描写・類語(人間関係・地位のカテゴリ)の一覧 ランダム5
言葉では、この大きな失望をまどかに伝え切れない。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
これは虐待とは言わない。 じゃあ、何だ。しつけ……そう、しつけだ。 しつけと虐待とは違う。 まどかのためを思って、やっているのだから……。 いや……。 捻り出した答えを自分自身で肯定できず、雪見は 慄然 とした。まどかのためというより、腹立たしさや、その場を早く収めたいという安易な気持ちから選んだ行為であることをその都度自覚していて、小さくとも確かな罪悪感を持っていたからだ。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
片手でまどかの肩を掴まえる。そして間髪を 容れず、もう一方の手で彼女の足を鋭く引っぱたいた。今までで一番強く叩いた。弾けるような音が鳴った。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
何箇所も骨にひびが入るほど殴られた上に、ボロ屑みたいに車から放り出されたのよ。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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人間恐怖は、それは以前にまさるとも劣らぬくらい烈しく胸の底で蠕動 していました
太宰治 / 人間失格
酸いも甘いも知り抜いている女のあざとい 媚
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
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