梨のつぶてのように、私一人を東京においてけぼりにする
林芙美子 / 新版 放浪記 ページ位置:32% 作品を確認(青空文庫)
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孤独・一人ぼっち
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......て東京へ行った一年あまりの生活の事を思い出した。 晩春五月のことだった。散歩に行った雑司 ヶ谷 の墓地で、何度も何度もお腹 をぶっつけては泣いた私の姿を思い出すなり。梨のつぶてのように、私一人を東京においてけぼりにすると、いいかげんな音信しかよこさない男だった。あんなひとの子供を産んじゃア困ると思った私は、何もかもが旅空でおそろしくなって、私は走って行っては墓石に腹をドシンド......
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