月明かりの下で確かに、 瞬いているものがあった。川縁の草の陰になっているらしい部分が小さく光りながら帯のように長く伸びていた。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 ページ位置:55% 作品を確認(amazon)
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蛍
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前後の文章を含んだ引用
......らにゃならんがや」 そして、父の手首を押さえて力まかせに腰を引いた。重竜の指はやっと離れた。 市電を降り、雪見橋のたもとに立って、竜夫は夜のいたち川を見やった。月明かりの下で確かに、瞬いているものがあった。川縁の草の陰になっているらしい部分が小さく光りながら帯のように長く伸びていた。まだ螢の出る季節ではなかったが、竜夫は慌てて手さぐりで草叢を降りていった。夜露でたちまち膝から下が濡れそぼった。川縁には何もなかった。光の加減で竜夫は騙されたの......
単語の意味
瞬く(またたく)
縁の草(ゆかりのくさ)
月明かり(つきあかり)
瞬く・・・1.見えたり見えなくなったり光がチラチラする。明滅する。
2.まぶたを一瞬のうちに閉じたり開いたりする。まばたく。
2.まぶたを一瞬のうちに閉じたり開いたりする。まばたく。
縁の草・・・ムラサキ科の植物、紫の異名。「縁」も「紫」も「ゆかり」と読める。
月明かり・・・月光。月の光。また、月の光で明るいこと。
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蛍の表現・描写・類語(夏のカテゴリ)の一覧 ランダム5
強い光を放つ大きな 蛍 が、谷間を貫く小さい流れに沿って飛んで来て、 或いは地上二 米 の高さを、 火箭 のように早く真直に飛び、或いは立木の 葉 簇 の輪郭をなぞって、高く低く目まぐるしく飛んだ。そして果ては一本の木にかたまって、その木をクリスマス・トリーのように輝かした。
昇平, 大岡「野火(のび) (新潮文庫)」に収録 amazon
炎とも電気とも星や月や太陽ともちがう、これまで見たことのない色と質感の光だった。輪郭があやふやで、触れたときの温度を想像しにくい。冷たいようでも、火傷しそうでもある。そういう光が、ふわふわ漂ったり静止したりしながら、田んぼのあちこちに灯っている。夜を少しだけ照らしだす。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
ささやかな淡い光は、まるで行き場を失った魂のように、いつまでもいつまでもさまよいつづけていた
村上春樹 / ノルウェイの森 amazon
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熱い空気がじっとりと汗ばんだ全身を包んでいた。目を閉じると、まぶたの裏が赤かった。陽に焼けていく。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
腿の匂いが暑気にむせ返るような夏の日
阿部昭 / 桃 amazon
梶井基次郎 / 城のある町にて
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