恐怖はじりじりと焼けつく負の欲望だ。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:86% 作品を確認(amazon)
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怖い・恐怖
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......た吸殻の束が怖い。そっとにじり寄ってきて、十和子の内部の空虚とつながろうとする空虚が怖い。あの空虚を呼び寄せてしまうこの空虚が怖い。腕を回して自分で自分を抱く。恐怖はじりじりと焼けつく負の欲望だ。わからなくなる。夕暮れの舗道を不吉な幻のように歩いていた、あれは、陣治なのかそれとも十和子自身なのか! キャビネットの上、さっき置いたビールの空き缶のそばに、あ......
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喉の奥で膨れ上がる恐怖が、舌を引き攣らせ歯をこじ開けて外へ逃れ出ようとする。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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わたしは、口紅をかじって飲み込んでしまったような重苦しい吐き気を感じた。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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