彼は、始終、彼女のことを考えて胸を熱くしていた。そして、ようやく会えると、 堪らえていた熱い 塊 りは溶け出すのだった。《…略…》彼は溶けた熱い想いの中に自分を浸すことでしか、もう自らを確認できなかった。その中にぽっかりと浮かんだ心臓は、活発に動いて血を送り出し、彼はますます深みにはまって行くのだった。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 ページ位置:18% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......た。いつのまにか何の感動もなく。彼にとって女を抱くということは「変わりばえのしない事」になりつつあった。それが、サユリに出会ったその夜、そうではなくなったのだ。彼は、始終、彼女のことを考えて胸を熱くしていた。そして、ようやく会えると、堪らえていた熱い塊りは溶け出すのだった。いないよりはまし、という程度の今までの女達とは次元が違っていた。彼は溶けた熱い想いの中に自分を浸すことでしか、もう自らを確認できなかった。その中にぽっかりと浮かんだ心臓は、活発に動いて血を送り出し、彼はますます深みにはまって行くのだった。 サユリは、といえば、そのスタンの自分に対する気持を心地良く味わっていた。彼女がいつも必要としているのは、男の自分に対する真剣な気持だった。それが向けられる時、......
単語の意味
堪らない(たまらない)
熱い(あつい)
胸(むね)
堪らない・・・気持ちを抑えられない。気持ちを抑えられないくらい、素晴らしく素敵。なんともいえないほど素晴らしい。「仕事のあとのビールは堪らない」
熱い・・・1.温度が高いと感じる。
2.気持ちが高まった状態である。関心を寄せている。「今B級グルメが熱い」
2.気持ちが高まった状態である。関心を寄せている。「今B級グルメが熱い」
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嵐を好きになってから私は、恋というものを桜や花火のようだと思わなくなった。 たとえるならそれは、海の底だ。 白い砂地の潮の流れに揺られて、すわったまま私は澄んだ水に透けるはるかな空の青に見とれている。そこではなにもかもが、悲しいくらい、等しい。 目を閉じて走っても、全く違う所を目指したつもりでも、気持ちはいつの間にかくり返しそこへたどり着く。そこはいつもとても静かで、いつも彼の面影に満ちているので、私は目を覚ますことなく、ずっと、そこでそのまま眠っていたくなる。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
鮮やかな色合いの羽をつけたいろんな鳥たちが、枝にとまってはまたどこかに飛び立っていくみたいに、女たちはやってきて、そして離れていった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
葉子は木部が魂を打ちこんだ初恋の的 だった。
有島武郎 / 或る女
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他人の舌はいつでもバターのようにしなやかだ。
小川洋子 / 揚羽蝶が壊れる時「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
結婚を 餌 に 弄ばれた愚かな妹
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
わたしは目の前の、自分を抱いている男の背に腕をまわし、男の身体の重みを受けながら、その男のことが好きだ、気にいっている、などと心の底から思うのだった。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
さわやかな不倫なんてないのはわかっていたが
吉本 ばなな / キムチの夢「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
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