自分は神にさえ、おびえていました。神の愛は信ぜられず、神の罰だけを信じているのでした。信仰。それは、ただ神の笞 を受けるために、うなだれて審判の台に向う事のような気がしているのでした。地獄は信ぜられても、天国の存在は、どうしても信ぜられなかったのです。
太宰治 / 人間失格 ページ位置:65% 作品を確認(青空文庫)
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主義・人生観・思想
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前後の文章を含んだ引用
......え。人が人を押しのけても、罪ならずや。われに、怒りのマスクを与え給え。 「うん、そう。シゲちゃんには何でも下さるだろうけれども、お父ちゃんには、駄目かも知れない」 自分は神にさえ、おびえていました。神の愛は信ぜられず、神の罰だけを信じているのでした。信仰。それは、ただ神の笞 を受けるために、うなだれて審判の台に向う事のような気がしているのでした。地獄は信ぜられても、天国の存在は、どうしても信ぜられなかったのです。 「どうして、ダメなの?」 「親の言いつけに、そむいたから」 「そう? お父ちゃんはとてもいいひとだって、みんな言うけどな」 それは、だましているからだ、この......
単語の意味
項垂れる(うなだれる)
項垂れる・・・悲しさや不安、恥ずかしさ、落胆などが原因で、力なく首を前に垂れる。がっくりする。
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主義・人生観・思想の表現・描写・類語(人生のカテゴリ)の一覧 ランダム5
みんながめいめいじぶんの神 さまがほんとうの神さまだというだろう、けれどもお互 いほかの神 さまを信 ずる人たちのしたことでも涙 がこぼれるだろう。それからぼくたちの心がいいとかわるいとか議論 するだろう。そして勝負 がつかないだろう。
宮沢賢治 / 銀河鉄道の夜
精神主義は、多くは無能な者の隠れ蓑であることが多い
司馬 遼太郎 / 殉死 amazon
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煎り豆に花が咲くようなことがそう度々あるはずがない
幸田 文 / おとうと amazon
彼は偶然なこと故に、 却ってそれが何かの故意のよう考えられるのだ。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
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