他人との違いが、嫌でも 優劣 として際立ってしまうような、真の才能に恵まれた人は、凡庸であることにこそ切実に憧れるものなのだ
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 ページ位置:63% 作品を確認(amazon)
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天才・秀才
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前後の文章を含んだ引用
......、別に彼女に何をひけらかすというわけでもなかった。 そんなことを考えながら、洋子は久しぶりに、蒔野聡史のことを思い出した。 ──彼はどうしているのかしら?…… 他人との違いが、嫌でも優劣として際立ってしまうような、真の才能に恵まれた人は、凡庸であることにこそ切実に憧れるものなのだと、洋子は彼との短い関係を通じて知った。自分自身は、天才でも何でもないが、しかし、なかなか人と話が合わないという程度の経験からなら、彼に共感を抱くことも出来た。......
単語の意味
凡庸(ぼんよう)
際立つ(きわだつ)
凡庸・・・なんの魅力もないこと。平凡でとりえがないこと。また、そのさま。
際立つ・・・ひと際(きわ)(=一段と)目立つ。他との違いが明瞭である。周囲のものとはっきり区別されて、人目を引く。
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天才・秀才の表現・描写・類語(才能・技量のカテゴリ)の一覧 ランダム5
現在の日本の洋画家には天分というものが全くない。彼らは徒らに乏しい才能を濫作によって摺りへらしているのであり、その才能もせいぜい他の森林から落葉を搔き集めて運んでいるような借りものである。 しかし、小坂田二郎は、そうした才能の森林の奥深いところにどっしりと構えていて、みずからの若葉を尽きるところなくつみ取っている天才的画家である。
松本 清張 / 美の虚像「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
剃刀のような神経を持った早熟の秀才
阿久 悠 / 瀬戸内少年野球団〈上〉 amazon
天才とはぜいたく品みたいなものだ。
林芙美子 / 新版 放浪記
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天才は元来嚢中(のうちゅう)の錐(きり)のようなものですから、何(ど)の道へ入っても、必ず現れて参ります。
佐々木 邦 / ガラマサどん amazon
いわゆる頭のいい人は、いわば脚の早い旅人のようなものである。人より先に人のまだ行かない所へ行き着くこともできる代わりに、途中の道端あるいはちょっとした脇道にある肝心なものを見落とす恐れがある。
寺田 寅彦 / 科学者とあたま amazon
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