配給された小石のような固パン

ゾリゾリと聞こえるのはカリカリに焼いたパンの表面をバターナイフの先が直にこすった時の音。バターの塊が熱で急に他愛もなく溶けていき、パンの小さな凹みという凹みに染み込んでいく。濃厚なバターの味、パンに染み込んで一体となったパンとバターの味、そしてその下の、少し湿り気をおびたパンの味、最終的に口の中はバターの脂にまみれる。

神戸で食べるパンやバターは昔どおりの味がする

紫色のあんのはいった甘いパン

配給された小石のような固パン

肉がかりっとしてジューシーで、トマト・ケチャップがとことん無反省で、美味しく焦げたリアルな玉葱のはさんである本物のハンバーガー

焦（こ）げ爛（ただ）れた餅の死骸

日本人の主食がお米なら、イタリアはスパゲティ、フランスはパン、そしてドイツはじゃがいもといえるだろう。

ふっくらとバターを含んで香ばしいクロワッサン

パンは三日で固くなる。食パンは一週間で青カビが生え、フランスパンはひと月で 棍棒 になる。