風呂桶を長くしたような煙突
前田河広一郎 / 三等船室「現代日本文学大系 (59)」に収録 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
煙突
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
no data
ここに意味を表示
煙突の表現・描写・類語(外の設備・工作物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
このカテゴリを全部見る
「外の設備・工作物」カテゴリからランダム5
蛇口は人差し指くらいの細さしかない。その先端はなにかを排泄しようとしてそのまま止まってしまったかのようにふたつ段々がついている。その先から透明なものが、緩やかに、緩やかに現れる。まわりの景色がその表面に映っている。洗面台が、白い壁が、麻理子の顔が、その中に閉じ込められている。それは見つめているとどんどん膨らんでゆく。そして品がないくらいまで大きくなると、一瞬涙の形を浮かべ、そしてぴたんと落ちる。
また一滴垂れる。その瞬間には次の粒が蛇口から顔を出し始める。まったく同じことを繰り返してゆく。徐々に大きくなってゆき、その表面を震わせ、線香花火の玉のようにぴたん落ちる。次が蛇口から現れる。わずかに付着していただけのちっぽけな水は、やがて仲間を吸収し、ぷくりと垂れ下がり、蛇口の先端から離れて離れてとうとう千切れる。
瀬名 秀明 / パラサイト・イヴ amazon
同じカテゴリの表現一覧
外の設備・工作物 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ