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水島の舌はとても長い。この舌こそが特別だ。十和子が自分自身の舌では決して触れられないような場所に届き、二つの口から大量の唾液が溢れ出る。舌の付け根をえぐられるとアーという発声がどうしてもエーになってしまう。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:38% 作品を確認(amazon)
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...... 舌先が上あごの裏側を這い回り、舌ともつれ合い、舌の下側に入り込んでくる。声が続かない。噎せて途切れる。再びかすれた裏声でアーと続ける。動かないでと水島が言う。水島の舌はとても長い。この舌こそが特別だ。十和子が自分自身の舌では決して触れられないような場所に届き、二つの口から大量の唾液が溢れ出る。舌の付け根をえぐられるとアーという発声がどうしてもエーになってしまう。それでもいっぱいに口をあけている。とうとう声が出なくなってしまってからも、アエーというかたちに口を開いたままでいる。 水島が身を起こすと、十和子はその顔に表れて......
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