あなたのお名前を認（したた）めると《…略…》まるで恋文でも綴るように心がときめいて参ります。

葉子は木部が魂を打ちこんだ初恋の的（まと）だった。

身も心も 焦げる思い

胸を貫く忘我の感覚があった。

彼女のことで息苦しいくらい頭が一杯

（女の）いま咲いたばかりの白い百合（ゆり）の花のような楚楚とした艶（あでや）かさ

美女というものは何事を持ってきても似合うな、と彼は思う。それはちょうど音楽のように、相手が最も具体的であると同時にこの上なく抽象的な存在であるせいであろうか？

美しく、得も言われぬ存在感を放っていた。

誰もが彼女に対してほのかな恋心を抱く

はっとするほど綺麗な女

彼女の言葉の中には、すでに一度結婚生活をすごした女のもつあの一種特別なおちつきが漂うていた。

女性の漿液（しょうえき）の溢（あふ）れるような女

処女のように美しく小柄（こがら）な岡

危うげなほど繊細な魅力が彼女のまわりをほんのりと蒸気のように包んでいた

何も知らない、神のような少女

フレンチキス

ペニスを何度か動かして、そして何の予兆もなく突然射精した。それは押しとどめようのない激しい射精だった。

（他人のセックスを見て興奮する）窓のなかの二人はまるで彼の呼吸を呼吸しているようであり、彼はまた二人の呼吸を呼吸しているようである

（リードしたセックス）年下の女性とセックスをするときには、そうはいかない。始めから終わりまで彼がいろんなことを考え、様々な選択をおこない、判断を下さなくてはならない。それは天吾を居心地悪くさせた。様々な責任が彼の双肩にのしかかってきた。荒海に乗り出した小さな船の船長になった気分だった。舵を取ったり、帆の具合を点検したり、気圧や風向きを頭に入れておかなくてはならない。自分を律し、船員たちの信頼を高めなくてはならない。細かいミスやちょっとした手違いが惨事へと結びつきかねない。それはセックスというよりはむしろ、任務の遂行に近いものになった。

死んだ猫を探すみたいに（存在しない）永遠の愛を探す