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K君と彼女との間には、清水のようなものが流れていた。K君が彼女にゆっくりと視線を向け、彼女が「そうね。」とか「うん。」とか、大して意味のない言葉をつぶやく時、控えめでひそやかな水の音が聞こえてきそうだった。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 ページ位置:43% 作品を確認(amazon)
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......女は、一段と美しかった。彼女が微笑むたびに、テーブルのタムが揺らめくような気がした。口紅を塗っていない肌色の唇が、料理の温かさを吸い取ってしっとり潤んでいた。 K君と彼女との間には、清水のようなものが流れていた。K君が彼女にゆっくりと視線を向け、彼女が「そうね。」とか「うん。」とか、大して意味のない言葉をつぶやく時、控えめでひそやかな水の音が聞こえてきそうだった。 彼女がデザートのレモンムースと紅茶のセットを運んできた時、K君とわたしはサトウについて話をしていた。「どんな人?」 K君が彼女からお盆を受け取りながら聞いた。......
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視線(しせん)
視線・・・目と、目が見ようとしているモノとを結ぶ線。目が見ている方向。見つめている方向。
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(交際)これまで私は誰かと親しい関係になるたび、自分が少しずつ取り替えられていくような気分を味わってきたからである。  相手の思考や、相手の趣味、相手の言動がいつのまにか自分のそれに取って代わり、もともとそういう自分であったかのように振る舞っていることに気付くたび、いつも、ぞっとした。やめようとしても、やめられなかった。おそらく、振る舞っている、というような生易しいものではなかったのだろう。  男たちは皆、土に染み込んだ養分のように、私の根を通して、深いところに入り込んできた。新しい誰かと付き合うたび、私は植え替えられ、以前の土の養分はすっかり消えた。それを証明するかのように、私は過去に付き合ってきた男たちと過ごした日々を、ほとんど思い出せないのである。また不思議なことに、私と付き合う男たちは皆、進んで私の土になりたがった。そして最後は必ず、その土のせいで根腐れを起こしかけていると感じた私が慌てて鉢を割り、根っこを無理やり引き抜いてきたのだった。  土が悪いのか、そもそも根に問題があるのか。  旦那と結婚すると決めた時、いよいよ自分がすべて取り替えられ、あとかたもなくなるのだ、ということを考えなかったわけではない。
本谷 有希子 / 異類婚姻譚 amazon
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