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蛇口・水道(水)の表現・描写・類語(外の設備・工作物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
蛇口は人差し指くらいの細さしかない。その先端はなにかを排泄しようとしてそのまま止まってしまったかのようにふたつ段々がついている。その先から透明なものが、緩やかに、緩やかに現れる。まわりの景色がその表面に映っている。洗面台が、白い壁が、麻理子の顔が、その中に閉じ込められている。それは見つめているとどんどん膨らんでゆく。そして品がないくらいまで大きくなると、一瞬涙の形を浮かべ、そしてぴたんと落ちる。
また一滴垂れる。その瞬間には次の粒が蛇口から顔を出し始める。まったく同じことを繰り返してゆく。徐々に大きくなってゆき、その表面を震わせ、線香花火の玉のようにぴたん落ちる。次が蛇口から現れる。わずかに付着していただけのちっぽけな水は、やがて仲間を吸収し、ぷくりと垂れ下がり、蛇口の先端から離れて離れてとうとう千切れる。
瀬名 秀明 / パラサイト・イヴ amazon
両手に溜めた水道水を飲む。それは不快にぬるくて、プールの水みたいに薬くさい。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
蛇口から細かい泡混じりに吹き出す音と、流しの銀部が水道の勢いに打たれてたてるべこべこという音と、排水口に渦巻ってゆく音のみっつを聴きながら
川上 未映子「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
蛇口から出る水の音が、小さな滝のようにきこえた。
島尾 敏雄 / 死の棘 amazon
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