(写真の風景)何百回となく写真を通して見ていた風景を実際に目のあたりにするというのは実に奇妙なものだ。奥行きがおそろしく人工的に感じられる。僕がそこに辿りついたというより、誰かが写真にあわせてそこに間にあわせの風景をあわてて作りあげたといった感じだった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 ページ位置:77% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......いく先には高く切りたった山が見えた。眺める角度こそ違っていたが、間違いなく鼠の写真に写っていたのと同じ山だった。写真をひっぱり出して確かめるまでもない。 しかし何百回となく写真を通して見ていた風景を実際に目のあたりにするというのは実に奇妙なものだ。奥行きがおそろしく人工的に感じられる。僕がそこに辿りついたというより、誰かが写真にあわせてそこに間にあわせの風景をあわてて作りあげたといった感じだった。 僕は木戸にもたれかかってため息をついた。何はともあれ我々は探しあてたのだ。探しあてることが何を意味しているかということはべつにして、ともかく我々は探しあてたの......
単語の意味
風景(ふうけい)
風景・・・自然の景色。目の前に広がる眺め。その場の情景。
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ぼやぼや幽霊みたいな(写真)
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