川が揺れている、とはじめは思った。迂曲している川が横にゆがみ、今にも氾濫を起こしそうに見える。足元がふやけたかのように、風景が震え、そしてそれが、いつもの眩暈であることに気づく。
伊坂 幸太郎 / グラスホッパー ページ位置:54% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
目まい
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......ょろ、とも、きっきっ、とも聞こえた。 夕方の四時、日はまだ沈んでいないが、それでもずいぶん下に降りてきている。左手の遠方に見えるビル群に、太陽がかかっていた。 川が揺れている、とはじめは思った。迂曲している川が横にゆがみ、今にも氾濫を起こしそうに見える。足元がふやけたかのように、風景が震え、そしてそれが、いつもの眩暈であることに気づく。「どうして、岩西に電話をかけたんだ」と声がした。 今度はどの亡霊か、と煩わしい気分で横に目をやるが、人の姿はなかった。左右に小さく首を振るが、人影はない。「あの......
単語の意味
暈(かさ)
風景(ふうけい)
暈・・・1.光の輪。ときどき太陽を囲うようにできるドーナツ形の光。また、その現象。ハロ。
2.疲れたときに目の周りに出てくる黒いあざのようなもの。「暈」で「くま」とも読む。
2.疲れたときに目の周りに出てくる黒いあざのようなもの。「暈」で「くま」とも読む。
風景・・・自然の景色。目の前に広がる眺め。その場の情景。
ここに意味を表示
目まいの表現・描写・類語(その他の気分のカテゴリ)の一覧 ランダム5
急に身が落ち込んで行くような眩暈(めまい)
井上 靖 / 猟銃「猟銃・闘牛 (新潮文庫)」に収録 amazon
思いきり立ち上がると、右目と左目の真ん中あたり、頭の芯がくらっとバランスを失った。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「その他の気分」カテゴリからランダム5
茶の間で母と差しむかいで一合の酒にいい気持ちになっている。
林芙美子 / 新版 放浪記
はじまりの景色、その時の私にはなにもかもが妙にくっきりと明るく見えた。 全てのことが、この手のひらで押せば大きく動くような、そんな気さえした。なにもかも、どんな細かいことも、いっせいに未来に向かって開いているようだった。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
その他の気分 の表現の一覧
感情表現 大カテゴリ