アンナは彼の無関心なペニスを乳搾りでもするように握りしめた。

父親は電話でもかけるように母親の生殖器に口をつけ

二人は、自然と深まり行くことへの躊躇いから、却って長い、いつ尽きるともしれない口づけに浸った。

（雪の明かりが差し込む暗い室に裸の男性）彼の胸が闇の固まりになって目の前にあった。背中の方から雪の明かりが彼を包んでいた。ぼやけた光の中で、筋肉の輪郭が生々しく浮き上がっていた。

サユリを慎重に愛し始めた。彼は、おくれ毛を舌でどかしながら首筋に口を付けた。サユリの吐く息が暖まって来たのを感じると、我慢ができなくなって、彼女を抱く腕に力を込めた。

この時の僕は慥（たしか）に十日以前の僕ではなかった。二人は決してこの時無邪気な友達ではなかった。

自分の恋人が同じ朝と夜、同じ時間の流れの中に同時にいると思うだけで、いつもの夕方も甘く見える。電話をしても、のびのびと話せる。 　夜が静かで長く感じられる。 　ふだん淋しいと思いたくなくて無理して 麻痺 させていた感覚が、ひとつひとつ開いていくのが目に見えるようだ。 　季節の陽を受けた花のように、静かに、確実に。

至情をささげる

体が溶けちゃいそう

蒲団の中の暗闇に、英子の横顔が浮かびあがるようになってもう一年がたつ。