幼女のようなかわいらしい老婦人

老人は黙って立った。脊が高くちょうど風雨にさらされた山の枯木のような感じがした。

虫の食ったおヒナ様のようにしおらしい（お婆さん）

（老いた象）象はひどく年老いていたので体を動かすのもやっとというありさまだったし、はじめてこの象を見た人は今にも地面に崩れ落ちて息を引きとってしまうのではないかと不安な気持になるくらいだった。

艶の抜けたばあさん

その頃の彼女はもう人生を生き終えようとしている燃えかすのように、実際の年よりもずっと老け込んでいて、とてもまだ若くって、これからいろんなことがあるようには決して見えなくなってしまっていた。

彼女の美は三十歳手前で燃えつきる。疲れて、色褪せてゆく。

老人は黙って立った。背が高くちょうど風雨にさらされた山の枯木のような感じがした。

年とともに舌が荒れたのか、にぶくなったのか、味が濃くないと駄目だった。

（二十歳の誕生日を迎えた翌年）十代に完全に終止符を打った。