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くら螺鈿らでんを、まばゆく日にきらめかせながら鞭をも加へず悠々と、粟田口を指して行く
芥川龍之介 / 芋粥 ページ位置:43% 作品を確認(青空文庫)
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前後の文章を含んだ引用
......動かすのさへ、鮮かに、それと、影を街道に落してゐる。東山の暗い緑の上に、霜に焦げた天鵞絨びろうどのやうな肩を、丸々と出してゐるのは、大方、比叡ひえいの山であらう。二人はその中にくら螺鈿らでんを、まばゆく日にきらめかせながら鞭をも加へず悠々と、粟田口を指して行くのである。 「どこでござるかな、手前をつれて行つて、やらうと仰せられるのは。」五位が馴れない手に手綱をかいくりながら、云つた。 「すぐ、そこぢや。お案じになる程......
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