（舌にできた発疹）十和子を驚かせたのは、赤いグロテスクな発疹がいつの間にか増殖して舌の表面を覆っていることだ。びっしりと寄り集まった舌先を中心に、ずっと奥の付け根の方まで、裏側のグチャグチャしたひだの間まで、よく見ると粒々が飛び火している。これから病変がひろがっていきそうな部分は、 舌苔 が薄くなって地肌が透けている。これが自分の舌だとは信じられない。 　自分の舌が以前はどんな状態だったか思い出せない。でも、こんなに赤い、ひとつひとつがこんなに大きい粒々などなかった。こんなに不気味な、腐った魚の卵みたいな肉塊ではなかった。《…略…》病んだハラワタみたいなこの舌が、ある種の 烙印 のように思える。何か口では言えないほどいけないことをした女の烙印。

アーモンドクラッシュがちりばめられたみたいなニキビ顔

得体の知れぬデキモノ

体中の吹出物が痒くて、夜もおちおち眠れない

夏蜜柑の皮のような満面のニキビ

火傷痕のようだった。目を背けたくなる種類の傷

かぶれて顔一面がぼつぼつの吹出物で赤く腫れてるという惨めさ

浴槽から上がったばかりではないかと見間違うほどの汗

唇の両端が豆腐のように白く爛（ただ）れている

ジーンズの中で、足がじっとりと汗をまとっているのがわかる。