街灯がある度に伸びては縮む影の上を歩いていった。
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 ページ位置:73% 作品を確認(amazon)
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街灯・外のあかり
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前後の文章を含んだ引用
......る。浴衣の上に丹前を着た寒そうな酔っぱらいの観光客がたくさんいて、大声で笑いゆきかう。 私は妙にうきうきして楽しかった。 ひとりで星の下、知らない土地にいる。 街灯がある度に伸びては縮む影の上を歩いていった。 うるさそうな飲み屋はこわいので避けてゆくと、駅の近くまで出てしまった。真っ暗なみやげもの屋のガラスをのぞきながら、私はまだ開いているめし屋の明かりを見つけた。......
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街灯・外のあかりの表現・描写・類語(光と影のカテゴリ)の一覧 ランダム5
家々は既に戸を降し、ところどころに外灯の光が軒先を照らし、高い電柱の上にむき出しの電球がタングステンの鈍く輝いている線を高みを通る風に揺すられるように寒々と見せている。
野間 宏 / 暗い絵「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
明るい燈火が夜空にほてっている。
林芙美子 / 新版 放浪記
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「光と影」カテゴリからランダム5
オレンジ色の常夜灯と、家々の軒先からこぼれるわずかな光があるだけで、道はほとんど真っ暗だ。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
真暗な 夜 で、見えるものは何にもなかった。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
「外の設備・工作物」カテゴリからランダム5
蛇口は人差し指くらいの細さしかない。その先端はなにかを排泄しようとしてそのまま止まってしまったかのようにふたつ段々がついている。その先から透明なものが、緩やかに、緩やかに現れる。まわりの景色がその表面に映っている。洗面台が、白い壁が、麻理子の顔が、その中に閉じ込められている。それは見つめているとどんどん膨らんでゆく。そして品がないくらいまで大きくなると、一瞬涙の形を浮かべ、そしてぴたんと落ちる。
また一滴垂れる。その瞬間には次の粒が蛇口から顔を出し始める。まったく同じことを繰り返してゆく。徐々に大きくなってゆき、その表面を震わせ、線香花火の玉のようにぴたん落ちる。次が蛇口から現れる。わずかに付着していただけのちっぽけな水は、やがて仲間を吸収し、ぷくりと垂れ下がり、蛇口の先端から離れて離れてとうとう千切れる。
瀬名 秀明 / パラサイト・イヴ amazon
鐘の音が家々の眠りを揺り動かすようにゆるやかに響いてくる
壷井 栄 / 大根の葉・暦 (1980年) amazon
飴色 の縁の濃いサングラス
村上春樹 / ねじまき鳥と火曜日の女たち「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
住宅街の細い路地に立つ街灯は、携帯電話を片手に、約束に遅れた友人をぽつんと待っているような俯き加減だった。
平野啓一郎「ある男」に収録 amazon
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