火をつけると、この煙草特有の紙臭い臭いがたちこめ、それが炭火の臭気とまざって勝呂の胸をムカムカとさせた。
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 ページ位置:39% 作品を確認(amazon)
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タバコ
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前後の文章を含んだ引用
......んでいるかね。現在ではあれあ、大変だからなあ。モナルディ氏理論のほかに新しい文献が手にはいったかい」 それには返事をせず、戸田はほまれの袋から煙草をとりだした。火をつけると、この煙草特有の紙臭い臭いがたちこめ、それが炭火の臭気とまざって勝呂の胸をムカムカとさせた。「勝呂君、俺、やりそこなったよ」「はあ?」 熱っぽい体のだるさと頭痛とを我慢しながら勝呂はやっと返事をした。「何ごとですか」「あの大部屋の患者に先に死なれてなあ......
単語の意味
立ち込める・立ち籠める(たちこめる)
胸(むね)
立ち込める・立ち籠める・・・煙や霧などの気体が、あたり一面を覆う。
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煙草の火はだんだん吸口の方へ逼 って、一寸 ばかり燃え尽した灰の棒がぱたりと毛布の上に落つるのも構わず主人は一生懸命に煙草から立ち上 る煙の行末を見詰めている。その煙りは春風に浮きつ沈みつ、流れる輪を幾重 にも描いて、紫深き細君の洗髪 の根本へ吹き寄せつつある。
夏目漱石 / 吾輩は猫である
一ぷく巨大な烟 の一団を吹き出した。
夢野久作 / ドグラ・マグラ
口から、小さな煙の輪が一ツクルクルと湧き出して
夢野久作 / ドグラ・マグラ
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地図が、とてつもなく大きな蛾の翅(はね)のように見える
福永 武彦 / 草の花 amazon
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