元来鏡というものは気味の悪いものである。深夜蝋燭 を立てて、広い部屋のなかで一人鏡を覗 き込むにはよほどの勇気がいるそうだ。
夏目漱石 / 吾輩は猫である ページ位置:68% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
鏡・ミラー
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......したり顔に振り廻しているのかも知れない。大分 物騒になって来たなと、そっと窺 っている。 かくとも知らぬ主人ははなはだ熱心なる容子 をもって一張来 の鏡を見つめている。元来鏡というものは気味の悪いものである。深夜蝋燭 を立てて、広い部屋のなかで一人鏡を覗 き込むにはよほどの勇気がいるそうだ。吾輩などは始めて当家の令嬢から鏡を顔の前へ押し付けられた時に、はっと仰天 して屋敷のまわりを三度馳 け回ったくらいである。いかに白昼といえども、主人のようにかく一生......
単語の意味
深夜(しんや)
深夜・・・真夜中。夜更け。深更(しんこう)。
ここに意味を表示
鏡・ミラーの表現・描写・類語(道具・家具のカテゴリ)の一覧 ランダム5
壁の鏡はまるでさっき出土されたもののようにどんより曇っている。
吉本ばなな / 哀しい予感 amazon
切り取られた鏡のなかで、ぼんやりといつまでも浮かんでいるようだった。
川上 未映子「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
鏡台は、おもちゃのように小さく、古めかしいものであった。
永井 龍男 / 青梅雨 amazon
このカテゴリを全部見る
「道具・家具」カテゴリからランダム5
もたれのない抉 り抜 きの事務椅子
有島武郎 / 生まれいずる悩み
(テーブルクロスにアイロンをかける)テーブルクロスを広げ、数学者にふさわしくそれを目分量で十六等分し、一つ一つのブロックを順々に片付けていった。 まず霧吹きの水を二度噴射させ、熱すぎないか手をかざして確認し、一番めのブロックにアイロンを押し当てる。把手をぎゅっと握り、生地を傷めないよう慎重に、しかしあるリズムを持ってアイロンを滑らせてゆく。眉間に力を込め、小鼻をふくらませ、自分の思い通りに皺がのびているかどうか、凝視している。そこには丁寧さがあり、確信があり、愛さえもがある。アイロンは理にかなった動きをする。最小の動きで最大の効果が得られる角度とスピードが保たれている。博士のテーマである優美な証明が、その古びたアイロン台の上に実現している。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
この絵の前に何時間でも立っていたい、そんな気分にさせてくれる絵でした。
湊 かなえ「花の鎖 (文春文庫)」に収録 amazon
そのゴミは黴菌のようにごちゃごちゃと集団をなして
高見 順 / 如何なる星の下に amazon
同じカテゴリの表現一覧
道具・家具 の表現の一覧
暮らしの表現 大カテゴリ