煤けて背骨のない藁人形のようなお婆さん
林芙美子 / 新版 放浪記 ページ位置:33% 作品を確認(青空文庫)
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老人
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......長閑な住居にいる人達が、どうして私の事を、馬の骨だの牛の骨だのなんかと言うのだろうか、沈黙 って砂埃 のしている縁側に腰をかけていると、あの男のお母さんなのだろう、煤けて背骨のない藁人形のようなお婆さんが、鶏を追いながら裏の方から出て来た。 「私、尾道から来たんでございますが……」 「誰をたずねておいでたんな。」 声には何かトゲトゲとした冷たさがあった。私は誰を尋......
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