しゃれた街路灯が道を両側を飾っている

ジープがやっと通れるくらいの道で、頭が痛くなりそうなほどまっすぐだった。カーブもなければ、急な坂もない。前を見ると、何もかもが一点に吸い込まれていた。

枯れた川のように白い道路

道路を川のように水が洗っている

車がすれ違えないようなせまい道

アパートの近くを高速道路が走っていて、そこを往来する深夜トラックの押しつぶされたような扁平なタイヤ音が、薄い窓ガラスの向こうから部屋の空気をかすかに揺らせ、何人かの男女の寝息と軽いいびきがそれに入り混じっていた

海に沿って、埃っぽい道が投げ出された帯のようにつづいており

雨あがりのせいか、ぱあっと石油色に道が光っている。

（東海道）「この東海道というものは山や川や海がうまく配置され、それに宿々がいい工合（ぐあい）な距離に在って、景色からいっても旅の面白味からいっても滅多に無い道筋だと思うのですが、しかしそれより自分は五十三次が出来た慶長頃から、つまり二百七十年ばかりの間に幾百万人の通った人間が、旅というもので甞（な）める寂しみや幾らかの気散じや、そういったものが街道の土にも松並木にも宿々の家にも浸み込んでいるものがある。その味が自分たちのような、情味に脆（もろ）い性質の人間を痺（しび）らせるのだろうと思いますよ」

曲がりくねった金属のチューブに見える道路