くつろいだ気持ち

本当の家に帰りついたように解放される

溜飲が下がる

病室にいると、産湯につかった赤ん坊のように、安心できた。

心の奥にぽかっと火がともる

ホッとするような喜ばしい安堵の情が胸を浸す

ホット重荷を卸したような気持ちになった。

大きく息をつく

心が糸のように解きほぐされてゆくのをかんじた。

溶けるような安堵感の中に落ちていく

それを聞いたら、私の胸のうちのどこかがほっとゆるんだのがわかった。ぎゅうとつかまれていたものがゆるんで、ふわっと何かが流れ出して、だれかにゆるされたような、そんな感覚だった。温かいお湯のようなものが全身をゆっくりとめぐった。

胸につかえが取れる

（気をつけ）全身の力を四角な 顎 にあつめて胸元に引きよせ直立しようとする

落ち着かなければ、十和子は胸を押さえる。

胸に残るためらいをすべて吐き出すようなため息をついた。

心が安らかになる

心の中を見透かすような表情

（恋をしていた時の気持ちを思い出す）はっと気づくと、突如頭がクリアーになっていた。ずーっと目の前を 覆っていた霧が晴れたような感じだった。なにが起こったのかわからなかったけれど、ああ、昔は世の中がこんなふうに見えていたのか、と私は思った。 　昔？ 　そう、彼に出会ったころ、私は人生のすべての味をかみしめるような気持ちでいつもいた。 　デートの約束をした晴れた朝の切なさ。 　２人でいられる短い時間の風の匂い、歩く速度すら速すぎて、流れていくようだった街並の角度。 　ガラス、アスファルト、ポスト、ガードレール、自分の 爪。店のショーケース。 　ビルの窓に光る 陽 の光。すべてを細胞に刻み込む勢い、何もかもに勝てる確信。 　勝つために、忘れてしまわないために時の一粒一粒を 慈しみ、情報として体に取り込もうとする働き。 　恋によってあふれたエネルギー、見開かれた 眼。 　あのときそのままに美しかった。美しい。何もかもがよく見えて、はっきりしている。一つ一つのものが、香り立つようにその存在の輪郭を 際立たせる。 　おなかのほうからわくわくした気持ちが 湧いてくるのが感じられた。目を閉じると目の前にマーブルのように 渦巻くエネルギーの流れが見えた。

彫像みたいに背筋がまっすぐ伸びている。

凍てつく冷笑のつららが突き刺さる