水の少ない時期には流れはそっくり砂地に吸い込まれ、あとには微かな湿り気を残した白い砂の道だけが残る。僕は散歩のついでにそんな道を上流まで辿り、川が川床に吸い込まれていくポイントを探したものだった。そこでは流れの最後の細い一筋がふと何かをみつけたといった感じで立ち止まり、そして次の瞬間にはもう消えていた。地底の闇が彼らをそっと呑み込んでいった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 ページ位置:28% 作品を確認(amazon)
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水のない川
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......ないのだ。川床は山から運ばれてくる小石やさらさらとした砂地で、ところどころに流砂どめの滝があった。滝の下には深いたまりがあって、そこには小さな魚が泳いでいた。 水の少ない時期には流れはそっくり砂地に吸い込まれ、あとには微かな湿り気を残した白い砂の道だけが残る。僕は散歩のついでにそんな道を上流まで辿り、川が川床に吸い込まれていくポイントを探したものだった。そこでは流れの最後の細い一筋がふと何かをみつけたといった感じで立ち止まり、そして次の瞬間にはもう消えていた。地底の闇が彼らをそっと呑み込んでいった。 川沿いの道は僕の好きな道だった。水の流れとともに僕は歩く。そして歩きながら、川の息づかいを感じる。彼らは生きているのだ。彼らこそが街を作ったのだ。何万年という......
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流れのゆるやかな水面が、水彩絵の具をぶちまけたように色とりどりの油をひときわ鮮明にする
高橋 和巳 / 捨子物語 amazon
海はまだ大うねりにうねり返っていた。
小林多喜二 / 蟹工船
(海辺の家)目覚めると波音がはじめに耳に入ってくるというのは変な感じだった。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
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