僕はそのふたつの命題を胸に抱えたまま、時計の長針がゆっくりと文字盤を一周するのを眺めていた。針が一周したあとでも、僕はそのふたつの命題の中心にあるものに辿りつくことはできなかった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 ページ位置:86% 作品を確認(amazon)
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一点を見つめる
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前後の文章を含んだ引用
......しかし、彼は僕を拒否してはいない。もし彼が僕をここに置きたくないのなら、彼には僕を閉め出す方法は幾らでもあったはずなのだ。何故なら、この家は彼の家なのだから。 僕はそのふたつの命題を胸に抱えたまま、時計の長針がゆっくりと文字盤を一周するのを眺めていた。針が一周したあとでも、僕はそのふたつの命題の中心にあるものに辿りつくことはできなかった。 羊男は何かを知っている。それは確かだった。僕がここにやってくるのを目ざとくみつけたのと同じ人間が、半年近くもここに住んでいた鼠を知らないわけがないのだ。 考え......
単語の意味
胸(むね)
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一点を見つめるの表現・描写・類語(見るのカテゴリ)の一覧 ランダム5
太った中年の女はスクリャービンのピアノ・ソナタに聴き入っている音楽評論家のような顔つきでじっと空間の一点を睨んでいた。僕はそっと彼女の視線を追ってみたが空間には何もなかった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
目の前のものをひたすら見つめていた。あまりにも一心に見つめすぎ、視線が彼を突き抜け、どこか遠いところに達しているかのようだった。瞳が焦点を結んでいるのは、彼の背後にある、はてしもないはるかな一点だった。
小川 洋子 / 盲腸線の秘密「口笛の上手な白雪姫」に収録 amazon
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松乃は私の目をまっすぐに見た。その目は私の心を突き通すような鋭さがあった。
百田尚樹「永遠の0」に収録 amazon
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