目の前のものをひたすら見つめていた。あまりにも一心に見つめすぎ、視線が彼を突き抜け、どこか遠いところに達しているかのようだった。瞳が焦点を結んでいるのは、彼の背後にある、はてしもないはるかな一点だった。
小川 洋子 / 盲腸線の秘密「口笛の上手な白雪姫」に収録 ページ位置:63% 作品を確認(amazon)
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一点を見つめる
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前後の文章を含んだ引用
......逆立ったり倒れたりした。「元気で可愛い赤ちゃんを産むんだ」 ウサギは首をよじり、彼を見上げた。すぐそこに黒い目があった。黒い色が充満した二つの粒でしかないのに、目の前のものをひたすら見つめていた。あまりにも一心に見つめすぎ、視線が彼を突き抜け、どこか遠いところに達しているかのようだった。瞳が焦点を結んでいるのは、彼の背後にある、はてしもないはるかな一点だった。 曾祖父はすぐ隣にいた。人参を抜いた時の土がついたままの手で、新しい煙草に火を点けようとしていた。ひ孫が好きなだけウサギを撫でられるよう、いつまでも待っていた。......
単語の意味
視線(しせん)
視線・・・目と、目が見ようとしているモノとを結ぶ線。目が見ている方向。見つめている方向。
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一点を見つめるの表現・描写・類語(見るのカテゴリ)の一覧 ランダム5
僕はそのふたつの命題を胸に抱えたまま、時計の長針がゆっくりと文字盤を一周するのを眺めていた。針が一周したあとでも、僕はそのふたつの命題の中心にあるものに辿りつくことはできなかった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
黙ったまま 虚空 の一点を見つめていました。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
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まっすぐ見つめてもイチは逃げなかった。いつも視界の隅でぼやけていた彼はいまはっきり像を結んで、《…略…》すべてがくっきりして、
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon
男はただ僕を眺めているだけだった。僕の後の壁を眺めているのかもしれなかったが、その壁の前には僕がいたから、結局のところ男は僕を眺めていた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
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