魚類の比喩表現の例文 一覧

お椀の中に鱧がまるく白玉のように身をまるめ、透明なじゅん茱と入っている。汁は爽やかにほろ甘く、たしかに夏の微風をとかしてつくった様な味であった。

光の塊のような鮎が手の中ではねる

巨大な脱色したお玉杓子のような鮟鱇

鮟鱇は踊り疲れた海のピエロ

蕎麦のように細っこいウナギの子

汚れ知らぬ渓流の気品あふれた貴婦人

魚偏に豊と書く。これはトヨでなく、ユタカと読んでほしい。あの、鱧や太刀魚など長物といわれる魚の中では、身のあついはもを、骨切りして照焼きに焼き上げた姿も、チリ造りにしたまっ白な菊のような重厚さにも、文字通り豊かさを感じさせる。字というものは面白い。

若鮎はあの秋の雁のように正しく、可愛げな行列をつくって上ってくる

鱒は懐しい味がした。夏の山道のような味だ。

炙ってあるカツオをポン酢の中で泳がせる

オレンジの身に脂肪が白いシュプールを描く。とろける舌触りはワインにも合いそうだ。

クリスタルのような透明感を漂わせた関さば

黒い椀の澄まし汁に浮かぶ葛で巻いたハモの身は、まさに純白のボタンが開いたようである

白魚は一見、中華料理の羹のように、雑然として、かつ、トロトロしている。

白身の魚だが、脂が適度にあって、その身は絹のよう

上等なバターのような大トロ

少し厚めに切ってお気に入りの醤油に生ワサビを入れたらあとは思う存分にいただく。冬の味、日本海の味が、口いっぱいに広がる

鯛はその体に、光る宝石をちりばめて、海中を堂々と突き進む。

土佐から直送の丸々とぶっとく肥った餅のような歯ごたえのカツオ

フグの肉は他の魚と違って、身肉が弾力に富み、普通の平造りではゴムを噛むような感じで食べられない。そこで薄造りとなる。

フグは深窓の美女のような奥ゆかしさを持っている。淡白で味に癖がなく、しかも味わい深い。

普段はほのかに虹色に輝く鮭の腹は、産卵期には緋鯉のように真っ赤になる

ブリの活き造りは、頭を海上の岩に見立て、周囲を波となった薄造りが取り巻いている。ざっと数えて三百枚近い薄造り。脂身のある腹身は大波となり、赤みを帯びた背身は渦となり、縁側の縮れた部分は波しぶきとなっている。

マンボウの刺身は透き通るような白身、湯引きの方は雪のような白さ

雪のような美しい身で、味は淡泊のうちに、滋味が深い

湯だった鍋にハモの身を入れると、骨切りして薄くなっている身がまるで花が咲くように開く。その真っ白な花を口に運ぶとホロホロ崩れ、上品な味が口いっぱいに広がる。