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呼び鈴を押しても返事がなく、不審を抱いた二人は鍵のかかっていなかった玄関から家に上がったところ、居間で倒れている清三を発見したのだった。そばのテーブルには、遺書とともに、《ニッカリンT》というラベルの貼られた瓶が転がっていたという。それが果樹などに用いられる農薬で、数年前に製造・販売禁止になった劇薬だということを重藤も知っていた。
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 ページ位置:76% 作品を確認(amazon)
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......だった。富士市の尾畑清三宅の玄関先で聞き取りをしていたとき、興奮した清三が、午後八時にちゃんとした証拠を見せると約束したことから、間島と辰川は再度訪れた。だが、呼び鈴を押しても返事がなく、不審を抱いた二人は鍵のかかっていなかった玄関から家に上がったところ、居間で倒れている清三を発見したのだった。そばのテーブルには、遺書とともに、《ニッカリンT》というラベルの貼られた瓶が転がっていたという。それが果樹などに用いられる農薬で、数年前に製造・販売禁止になった劇薬だということを重藤も知っていた。清三が果樹農家を兼ねていた頃に入手し、手元に残っていたものだろう。清三はまだ息があったものの、搬送された病院で生死の境を彷徨っているという。 むろん、重藤はつい......
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