コロッケパンの特長は、コロッケの柔らかさがパンの柔らかさ同調しているところにある。コロッケパンの同類にハムカツサンドがあるが、ハムカツはパンと同調しない。噛んでいくと、ハムカツのところで歯の動きがいったん止まる。コロッケパンは、噛んでいくといつのまにか歯がコロッケを通過している。そして、口の中がいつのまにかパンとコロッケとソースが混じりあった味になる。混じりあった瞬間、なんだかとても楽しい気分になる。

ふっくらとバターを含んで香ばしいクロワッサン

その甘ったるいおもちゃみたいな〝クロワッサン〟っていう言葉

いいぱんだろう。ほしぶどうがちょっと顔（かお）をだしてるだろう。

その小倉トーストはパンを三角に切ったものの上に小倉あんが塗りたくってある。一見みそ田楽に見えなくもない。

フランス人はパンが好きで、パンならいくらでも食べられるが、ご飯は食べなれていないし、野菜としてあつかうくらいだから、ほんの少ししかたべない。

配給された小石のような固パン

（フレンチトースト）フレンチトーストをつくってみるのもよいと思う。 牛乳と卵を吸ってふかふかになったパンが、黄金色に焼き上っていて、甘くてちょっとバタくさくておいしいものだ。甘党の人には蜜またはジャムをそえて出せばよろこばれる。 この場合は、むしろスープなどより、紅茶かミルクをそえて出す方がぴったりしている。

（食パンは主食）ではなぜ日本人が、食パンなかんずくトーストをば、半分に切らないで、あまつさえ厚切りにして、そのまま食卓に供するかといえば、それはわれわれにとって、食パンが主食だからだ、と私は考える。日本人にとっての主食というものは、原則的にある程度のボリュームがあって、おかずとは切り離して、そのものだけを独立的に口にいれてもぐもぐ噛んで食べよ、とこういう風に私たちは小さい時から教わるわけである。

香り高い紅茶にサンドイッチのランチなど私は大好きだったが、イギリス人にとって、サンドイッチは、ランチというよりティーのお相手の感が強い。