めらめらと軒をつたい、破れた窓硝子から火をふき上げて燃えさかる火事の炎
野間 宏 / 残像「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 ページ位置:1% 作品を確認(amazon)
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火事
火が燃える・炎
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前後の文章を含んだ引用
......ろんこの中につっこんで引き上げたばかりというような苦しげな顔をして、半年ばかり自分で自分の胸を締めつづけるという役割を引きうけさせられたのであった。 そして彼がめらめらと軒をつたい、破れた窓硝子から火をふき上げて燃えさかる火事の炎を見つめていた眼をふと自分の傍にむけて、そこに火事見物の人ごみの中に既に彼に気づいてそれが果して以前の恋人の彼であるかどうかとたしかめるふうに、じっと彼の方に眼......
単語の意味
軒(のき)
軒・・・屋根の端の下にさがった部分で、建物の外壁より突き出ている部分。
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火事の表現・描写・類語(事件・事故のカテゴリ)の一覧 ランダム5
火事の炎が暗い夜空を一様の血の色に焦がし、煙と火の子が渦を巻きながら奔騰する
海音寺 潮五郎 / 武道伝来記 amazon
小屋が太い火束となって盛んに燃える
大岡 昇平 / 野火 amazon
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火が燃える・炎の表現・描写・類語(火・煙・灰のカテゴリ)の一覧 ランダム5
めらめらと舌をはいてもえさかる炎
野間 宏 / 残像「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
チョロチョロ赤い火が燃えていました。
宮沢賢治 / 風の又三郎
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青い焔が燃え、赤い表紙が生き物のように反り始め
梅崎 春生 / 桜島 amazon
凄まじい唸りを立てて町全体が燃える
辻井 喬 / 暗夜遍歴 amazon
煙はゆっくりのぼって行ったが天井のまぎわで、おそわれた鶏のようにふいに乱れた。
大江 健三郎 / われらの時代 amazon
煙が松の木の間を、靄のようになびいて昇る
佐多 稲子 / 素足の娘 amazon
「事件・事故」カテゴリからランダム5
街を抜ける大きな交差点の所で、私も柊もほんの少し気づまりを感じる。そこは、等とゆみこさんの事故の現場だった。《…略…》ひそやかに厳粛な気持ちが訪れる。愛する者の死んだ場所は未来永劫時間が止まる。もし、同じ位置に立てたなら、その苦しみも伝わるといいと人は祈る。よく観光で城なんかに行き、何年前、ここを誰々が歩いたのです、体で感じる歴史です。とか言うのを聞く度に、なに言ってんだと思ったものだが、今は違う。わかる気がする。
吉本 ばなな / ムーンライト・シャドウ「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
その音はワアン、ワアンと 島いっぱいに吠えていた。
林芙美子 / 新版 放浪記
(多めのヘロインを打たれて)皮膚が震えて針が離れた瞬間、もうヘロインは指の先まで駆け巡り、鈍い衝撃が心臓に伝わってきた。視界に白い霧のようなものがかかり《…略…》息を吸いたいが呼吸のリズムが変わっていてうまくできない。殴られたように頭が痺れていて口の中が焼ける程乾いている。《…略…》カラカラになった歯茎から少しだけ滲み出た唾液を呑み込むと、足先から駆け昇るように吐き気が込み上げて、呻きながらベッドに倒れた。《…略…》枕に顔を埋める。喉の奥は乾いているのにひっきりなしに唾液が唇から溢れ、それを舌ですくうたびに猛烈な吐気が下腹に襲ってくる。思いきり息をしてもほんの少ししか空気は入ってこない。それも口や鼻からではなく胸に小さな穴があってそこから漏れ込むような感じだ。腰は動けない程痺れている。締めつけられるような痛みが時々心臓を刺す。顳顬(こめかみ)で脹れた血管が思い出すようにヒクヒク震える。目を閉じるとものすごいスピードで生暖い渦の中に引き込まれるような恐怖を感じる。からだ中をヌルヌルと愛撫されて、ハンバーグに乗せられたチーズみたいに溶けていくようだ。試験管の中の水と油塊のように、からだの中で冷えきっている部分と熱をもったところが分離して動き回っている。頭や喉や心臓や性器の中で熱が移動している。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
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