むし暑く夏霞 のたなびいた空が、息をひそめたように、家々の上をおおいかぶさった、七月のある日ざかり
芥川龍之介 / 偸盗 ページ位置:0% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
夏の空
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......ば、猪熊 のおばば。」 朱雀綾小路 の辻 で、じみな紺の水干 に揉烏帽子 をかけた、二十 ばかりの、醜い、片目の侍が、平骨 の扇を上げて、通りかかりの老婆を呼びとめた。―― むし暑く夏霞 のたなびいた空が、息をひそめたように、家々の上をおおいかぶさった、七月のある日ざかりである。男の足をとめた辻には、枝のまばらな、ひょろ長い葉柳 が一本、このごろはやる疫病 にでもかかったかと思う姿で、形 ばかりの影を地の上に落としているが、ここにさえ......
単語の意味
靡く(なびく)
夏霞(なつがすみ)
靡く・・・1.草や藻、布などの長くて軟らかいものが、水や風の流に従って横に動く。
2.権力者の意思や命令に従う。また、女性が男性の言うことを受け入れる。
2.権力者の意思や命令に従う。また、女性が男性の言うことを受け入れる。
夏霞・・・夏に発生する霞(かすみ)。
ここに意味を表示
夏の空の表現・描写・類語(夏のカテゴリ)の一覧 ランダム5
このカテゴリを全部見る
「夏」カテゴリからランダム5
真夏へ真夏へと潮のように光の波を加えてゆく空の色
中山 義秀 / 醜の花「厚物咲・碑―他六篇 (1956年) (角川文庫)」に収録 amazon
気の狂ったような暑さが爆発する
五木寛之 / 私刑の夏 【五木寛之ノベリスク】 amazon
真夏の1、2週間は不思議だ。永遠に変わらないような陽射しの中で、いろんなことが進展していたりする。人の心や、出来事。そうしているうちに、秋が 牙 をといでいる。時間がたたないなんて錯覚だったというふうに、ある朝突然冷たい風や高い空で思い知る。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
ひとり夜更けの河畔を歩いていると、なにやら音がして振り返った。夜空に花火がひとつ上がっていた。
宮本輝 / 二十歳の火影 amazon
同じカテゴリの表現一覧
夏 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ